こんにちは!文系受験数学のダイです!


確率計算では、いつかけ算でいつ足し算?問題でどう使うの?
今日はこのような疑問にお答えしていきます!
確率計算でいつかけ算をするのか。
その理由や足し算をする場合との区別。このような基礎は、実は理解するのが1番難しいです。
しかし、積の法則で知っておくべきことはこの2つしかありません!
- 2つの事柄が必ず同時に起こる。
- 確率計算は、必ずかけ算。
絶妙に何を言っているのか分からないですよね(笑)

ということで、具体例を使って徹底解説していくよ!
目次
積の法則を一言で言うと
ある事柄A, Bについて、Aの起こり方が$m$通り、それぞれの場合に対してBの起こり方が一定数の$n$通りのとき、AかつBが同時に起こる場合の数は$(m×n)$通り。
- かけ算で場合の数を求めるため、乗法定理とも呼ばれます。
積の法則を一言で言うと、
2つの物事が同時に起きる時は、かけ算をしようというルールです。
積の法則は以下の2つのポイントを押さえることで、簡単に理解できます!
- 物事が同時に起きる
- かけ算で場合の数を求める

この2つのポイントが実は、和の法則との違いでもあるんだ!

それぞれのポイントを具体例を交えてみていこう!
積の法則の2つのポイント
「同時に起こる」をサイコロを使って説明してみた
「2つの事柄が同時に起こる」とは、
ある行為から2つ両方の結果を共に得ることです。
例えば、以下のような例です。

大小2つのサイコロを同時に投げて、大で偶数の目が出て、小で奇数が出る。
- 行為:
大小2つのサイコロを投げる
- 結果:
①大サイコロで偶数の目が出る
②小サイコロで奇数の目が出る
大のサイコロで2の目、小のサイコロで3の目が出たらどうでしょう。
2の目は、①偶数の目が出るという結果
3の目は、②奇数の目が出るという結果
これら両方の結果を満たしています。
- ①偶数の目
- ②奇数の目
これら両方の結果が同時に発生していますよね!

ある行為から、偶数の目と奇数の目のといった両方の結果が得られる状態。
この場合は、積の法則で場合の数を求めます!
- 偶数の目={2}{4}{6}で3通り
- 奇数の目={1}{3}{5}で3通り
偶数かつ奇数が出る通り= 3×3 = 9通り
「連続」も「同時に起こる」とみなす!
場合の数・確率では、ある行為を連続で行う場合も「同時に起こる」と解釈します。
連続で複数の行為をする時、それぞれの行為間に時間差が生じないと考えます。
例:4回連続でサイコロを投げる。
連続も同時なので、かけ算で積の法則が使えます!
✔︎同時に起こらない場合も確認!
- 行為:
1つのサイコロを投げる
- 結果:
①大サイコロで偶数の目が出る
②小サイコロで奇数の目が出る
先ほどの例と違って、サイコロを1つしか投げません。
2の目が出たら、
①偶数の目の結果は得られますが、
②奇数の目は得られません。
3の目が出たら、
②奇数の目の結果は得られますが、
①偶数の目は得られません。
このように、2つのうちどちらか一方の結果しか得られないことを、同時に起きないと言います。
この場合、和の法則を使って足し算で場合の数を求めます。
- 偶数の目={2}{4}{6}で3通り
- 奇数の目={1}{3}{5}で3通り
偶数または奇数が出る通り= 3+3 = 6通り
かけ算の理由をケーキを使って説明してみた

なぜかけ算をするのか。
その規則性とは、ある1つのものそれぞれに、別の選択肢が必ず同じ一定数あるからです。

今は理解できなくても大丈夫!次のケーキの選び方の例を見ればすぐに分かるよ!

イチゴとチョコの2種類のケーキから1つを選んで買う。ケーキ1つに対して、水、コーヒー、コーラの3種類の飲み物の内1つがもらえる時、ケーキと飲み物の選び方は何通りあるか。
イチゴかチョコを選ぶと、3種類の飲み物の内1つがもらえます。
これを樹形図にして見ましょう!
樹形図とは、物事の組み合わせやパターンを視覚的に見やすくした図です。


ケーキそれぞれに対して、3種類のドリンクが選べますね!
これを全て丁寧に数えて6通り!
ともできますが、簡単にかけ算で求められます。
ケーキと飲み物の選び方
= ケーキの種類 ×飲み物の種類
=2通り(イチゴ、チョコ)×3通り(水、コーヒー、お茶)
=6通り
では、この場合なぜかけ算できるのか?
それは、ケーキそれぞれに対して飲み物の選択肢が同じ一定の数あるからです。


ケーキ1つに対して、3種類の飲み物の選択肢がありますよね!
このことは、最初に触れた定義の中にも書いてあります。
ある事柄A, Bについて、Aの起こり方が$m$通り、それぞれの場合に対してBの起こり方が一定数の$n$通りのとき、AかつBが同時に起こる場合の数は$(m×n)$通り。

Aの起こり方「それぞれの場合に対して」Bの起こり方が「一定数」の部分ですね!
ある1つのものそれぞれに対して、別の選択肢が同じ一定数あるから。
樹形図で書くと、その規則性が見えます!
逆に、以下のような場合は積の法則が使えません。

イチゴには、3種類の飲み物がある。でも、ケーキには2種類しかない。
ケーキ各種に同じ一定数の選択肢がないから、かけ算できません!
この場合、樹形図に規則性がないので、
- イチゴを選ぶ場合
- チョコを選ぶ場合
この2つに場合分けしないといけません。
- イチゴ: 3種類の飲み物で3通り。
- チョコ: 2種類の飲み物で2通り。
これをまとめると、3+2 = 5通りです!
規則性がないので、このように足し算、和の法則でまとめます。
和の法則との違い
物事の同時性を考えて、和の法則と区別します。
- 物事が同時に起きる→積の法則
- 物事が同時に起こらない→和の法則

あと、積の法則では樹形図に規則性があったけど、和の法則にはいっさい規則性がないことも違いだね!
さらに詳しい両者の違いを和の法則の記事で解説しています。
積の法則の見分け方

積の法則でも、和の法則同様にキーワードがあるよ。

そういうの好きです(笑)

スバリ!「かつ」だね!
- 問題文に「かつ」がある
- 問題文が「かつ」で置き換えられる
これらの場合は、積の法則が使えることが多いです。
- 2つのサイコロを投げて、偶数の目かつ奇数の目
- くじ引きをして、Aさんが当たって、Bさんも当たる
→「Aさんが当たるかつBさんも当たる」

物事の同時性を考えることが1番ですが、これらのキーワードから使える法則が区別できる場合も多いよ!覚えておこう!
積の法則: 大学入試定番問題3選
サイコロ問題

大中小3つのサイコロを同時に投げる時、次の場合の数を求めよ。
- 全ての目の出方の通り
- 全ての目の出方が異なる通り
全ての目の出方の通り

全ての目の出方の通りをイメージしよう!
例えば、大で1の目が出た時、
- 中の目では、1~6の6通り
- 小の目でも、1~6の6通り
と考えられます。樹形図の一部を書いてみます。

つまり、大の目それぞれに対して
- 中では、1~6の6通りの選択肢
- 小でも、1~6の6通りの選択肢
とある1つに対して別の選択肢が同じ一定数存在します。
これは大の目が2~6でも同じです!
樹形図に規則性があるので、積の法則を使います。
全ての目の出方は、
= 大(の全ての目の出方)×中×小
= 6通り×6通り×6通り
= 216通り
(解答終了)

サイコロの全ての目の出方は、樹形図に規則性があるからかけ算!

サイコロが2個の全ての目の出方も、6通り×6通り=36通り!
全ての目の出方が異なる通り

これも具体的にイメージしてみよう!
例えば、123, 345, 612などです。
サイコロは1~6の出目しかないので1~6の範囲で考えます!

3つのサイコロの出方を以下のように考えます。
- ある3つの場所A, B, Cにそれぞれ1~6の数字を置く。
- 数字を選ぶときには、全ての目が異なるようにする

Aでは、1~6の6つの数字が選べるので6通り。
Bでは、Aで選んだ数字以外しか選べません。
例えば、Aで{1}を選ぶと、それ以外の2~6の数字で5通り。
Cでは、AとBで選んだ以外の数字です。
A={1}, B={2}を選んだとすると、3~6の数字で4通りです。
これらA, B, Cそれぞれがともに(同時に)起きることで、3つの数字が完成します!
そのため、異なる3つの目の通りは積の法則を使って、
= 6通り×5通り×4通り= 120通り
(解答終了)
この問題は、6個の異なる数字を一列に並べるとして、順列Pを使って${}_6 P_3$ = 6×5×4= 120通りともできます!
道順・経路問題
A地点からB地点まで3本の道があり、B地点からC地点まで4つの道があります。A地点からB地点を経由して、C地点まで行く行き方は何通りあるか。
道順を決める問題は、積の法則の定番問題です。
それは、それぞれの地点に対して一定数の道順があるからです。

前述の樹形図で説明した積の法則の規則性ですね!

- Aに対して、3通りの同じ道順。
- Bに対しても、4通りの一定数の道順です。
そのため、積の法則より
A→Cへの道順の通り = 3×4 = 12通りです。
(解答終了)
約数の個数と総和
最後に、積の法則を使って約数の問題を解いていきましょう!

積の法則を応用した即効性のある最強公式を伝授します!
あるAの素数が、$p^{l}$$q^{m}$$r^{n}$のとき、
- Aの正の約数の個数は、$(l+1)(m+1)(n+1)$通り
- Aの正の約数の総和は、($p^{0}$+$p^{1}$+…+$p^{l}$)($q^{0}$+$q^{1}$+…+$q^{m}$)($r^{0}$+$r^{1}$+…+$r^{n}$)
- 約数: ある数を割り切りことができる整数。例: 4の約数=1, 2, 4
- 素数: 1より大きい整数で、1と自分自身でしか割り切れない数。例: 1や5
- 素因数分解: 元の数が1になるまで、素数で割ることを繰り返すこと。

問題を解きながら、公式の使い方を押さえていこう!
56の正の約数の個数と総和を求めよ。
約数の個数の求める
素因数分解のやり方は、1, 3, 5, 7などの素数でその数を割っていきます。

素因数分解の結果、56 = $2^{3}$×$7^{1}$。
つまり、56は、
- 2が3つ
- 7が1つ
からなる数字だと分かりました。
あるAの素数が、$p^{l}$$q^{m}$$r^{n}$のとき、
- Aの正の約数の個数は、$(l+1)(m+1)(n+1)$通り
この公式は、その数の累乗に1を足して掛ける!と覚えてください。
56 = $2^{3}$×$7^{1}$です。
- 2の累乗は3
- 7の累乗は1
なので、それぞれの累乗に1を足してかけると
56の約数の個数 = (1 + 3) × (1 + 1)
= 4×2 = 8個
(解答終了)
約数の総和を求める
先ほど、素因数分解した56 = $2^{3}$×$7^{1}$で約数の総和を求めます。
あるAの素数が、$p^{l}$$q^{m}$$r^{n}$のとき、
- Aの正の約数の総和は、($p^{0}$+$p^{1}$+…+$p^{l}$)($q^{0}$+$q^{1}$+…+$q^{m}$)($r^{0}$+$r^{1}$+…+$r^{n}$)
56 = $2^{3}$×$7^{1}$なので、
$p$ = 2, $l$ = 3, $q$ = 7, $m$ = 1として公式に代入します。
= ($2^{0}$+$2^{1}$+$2^{2}$+$2^{3}$)×($7^{0}$+$7^{1}$)
= (1+2+4+8) ×(1+7)
= 120
(解答終了)

約数の個数と総数は、公式を覚えるだけで簡単に解けるようになります!公式はそのまま覚えちゃってください!
最後に: 積の法則のまとめ
いかがだったでしょうか?
本記事を通して、積の法則のイメージやどんな問題で使うか理解できたと思います。
さらに、和の法則の関連記事も読んで積の法則との使い分けを押さえておきましょう!
✔︎積の法則おすすめの4step勉強法
- 積の法則のイメージや使える状況をいつでも説明できるようにする。
- 樹形図における規則性や「同時性」を理解して、和の法則と区別できるようにする。
- 受験頻出の約数の個数と総和の公式を暗記する!
- 積の法則を使った演習問題に取り組む!
最後に、本日のまとめです。
積の法則って何?「同時に起こる」ってどういうこと!?