どうも!文系受験数学のダイです!


公式$n^{r}$が意味不明… どっちが$n$で、どっちが$r$なの?

重複順列の問題の見分け方知りたい!
今日はこのような疑問にお答えしていきます!
本記事では、重複順列の考え方や公式の証明を他の順列と比較しながら徹底的に噛み砕いていきます!
また、本記事ならではの重複順列を見分ける2つのポイントを完全伝授します!
目次
重複順列とは
定義や見分け方

- 同じものを繰り返し使ってもいいという条件の下で並べる順列。
- 読み方は、重複順列(ちょうふくじゅんれつ)
- 英語では、repeated permutationやsequence with repetition。
一列に並べる順列の中でも、並べるものを繰り返し使える並べ方を重複順列と言います。
重複順列では、問題文にある「繰り返し」を意味するキーワードで問題を見分けることができます。

通常の順列と比較しながら、重複順列を見ていこう!
例えば、異なる5個数字から3桁の整数を作る問題。
通常の順列では、以下のように出題されます。

5個($n$)の数字から3つ($r$)を選ぶので、${}_5 P_3$=60通りと分かります!
しかし、重複順列では問題文に「重複を許す」条件がつきます。


あっ!「同じ数字を何度使ってもいい」とキーワードがありますね!

そう!だから、重複順列では3桁の整数のどの位でも同じ数字を何回でも使ってOKなんだ!
通常の順列とは違って、並べるものを何度でも繰り返し使える!
公式

通常の順列$P$と違うなら、重複順列はどうやって解くんですか?

いい質問だ!この公式を使えば簡単に解けるよ!
$n$通りの選択肢を$r$回繰り返す重複順列は$n^{r}$。

実際にさっきの整数を並べる問題をこの公式で解いてみよう!

- 各位(百、十、一)で1~5の5つの数字で5通り: $n$=5
- 5通りが3つの位で合計3回繰り返される: $r$=3
よって、公式に代入して
$n^{r}$ = $5^{3}$ = 5×5×5 = 125通り!

ここで公式を理解できていなくても大丈夫!次の公式の証明で「なぜ$n^{r}$ で計算できるのか」その仕組みを詳しく解説するから!

そのまま読み進めていこう!
公式の証明: イメージと考え方

なんで重複順列は、$n^{r}$ で計算できるんですか?

それは、ある一定数の$n$通りあるものが$r$回続くからなんだ!
それでは、先ほどの問題を公式を使わずに解きます!

重複順列のイメージは、ある場所に1つ1つ一列に並べるイメージです。

それでは、各位の場所に1つ1つ数字を順番よく置きます。
最初に最高位の百の位から考えます。

百の位には、1~5の5つ数字の内1つを置くので5通り。
次に、十の位の置く数字を考えます。

同じ数字を何度使ってもいいので、百の位で使った①も十の位で使えます。1~5の5つの数字が選択肢としてあるので5通り。
最後に、残りの一の位を考えましょう!

一の位も、百と十の位で使った数字を重複して使えます!
そのため、同様に1~5の5つの数字が選択肢としてあるので5通り。
求めた場合の数を積の法則でまとめると、
3桁の整数の総数=百の位(の通り)×十の位×一の位
= 5通り×5通り×5通り = 125通り!

5通り×5通り×5通りは、$5^{3}$と同じだよね!
重複順列では、各位で1~5の5通りの選択肢が合計3回起きていると考えます!

- 物事が順序立てて起こる時はかけ算で場合の数を求める。
今回の問題では、各位の数字を百→十→一と順序立てて決めたので積の法則!

ちなみに、通常の順列では同じ数字を繰り返し使えないので、数字を並ぶ度に全体数が1つずつ減少します!
百の位では1~5の5通りの選び方。

しかし、十の位では百の位で選んだ数字は使えません!
よって、十の位は①以外の4通り。

一の位は、百と十の位で選んだ数字以外が置けるので3通り!

これらを積の法則でまとめると、
3桁の整数=5通り×4通り×3通り=60通り!

通常の順列では、同じものを繰り返し使えないからパターン数も重複順列より少ないんだ!
同じものを含む順列との違い・見分け方

同じものを含む順列と重複順列を混乱する受験生が多いんだ!でも、この2つは決定的に違うことをここで押さえておこう!
- 同じもの(文字、数字など)を一列に並べる順列。
- 公式$\frac{n!}{p!q!r!}$で求める。
重複順列は、異なるもの(数字や文字など)を複数回使って並べます。
しかし、同じものを含む順列は同じものを並べる順列です。

問題文での主題パターンを比べるとその違いがすぐに分かります!


重複順列では、異なるものを複数回使用できる条件のもとで一列に並べます。12345と全て異なる数字を使っていますよね!
そのため、問題文には「繰り返し使用可」を意味する条件が提示されます!

「同じ数字は何度使っていい」とありますね!
しかし、同じものを含む順列では並べるものが同じものです!

重複順列での数字12345とは違って、12244と2と4が2回ずつ出てきていますよね!
- 重複順列: 異なるもの(例:12345)を複数回使って並べる。
- 同じものを含む順列: 同じもの(例:12244)を並べる。
同じものを含む順列はこちらから!
公式の証明から問題の解き方まで解説しています!
組分けとの違い・見分け方
- 組分け: 選び方に偏りがない。ある人数を二つの組に分ける時、基本的に全ての組に一定数の人を配置する。
- 重複順列: 選び方に偏りがある。ある人数を二つの組に分ける時、誰もいない組があってもいいという前提で人を配置。

組分けと重複順列の違いは、問題の出題パターンを見ればすぐに分かるよ!
✔︎組分け: 選び方に偏りがない
例えば、組分けでは6人の園児を3人ずつ赤組、白組に分けます。


以下の2ステップで、6人の園児を3人ずつ赤組、白組に分けます!
- 最初に、6人中3人を赤組に入れる
- 残った3人を白組に入れる

ABCDEFの異なる6人の園児から、3人を選ぶので、${}_6 C_3$です。

次に残った3人から3人を選んで白組にするので、${}_3 C_3$です。

${}_3 C_3$=1なので、計算式では省略します!
あとは、これらを積の法則でまとめます。
求める組分けは、
= ${}_6 C_3$×(${}_3 C_3$) = $\frac{6×5×4}{3×2}$ = 20通りです。

赤組、白組それぞれの組に一定数の3人がいるので、組の分け方に偏りがないよね!
✔︎重複順列: 選び方に偏りがある
重複順列では、組分けのように3人ずつ一定数に分けません。
分ける人全員が、ある人組に偏ってもいいという前提で分けます。



だから、6人それぞれに赤組か白組かの2通りの選択肢と考えます!

これを公式を使って表します。

$2^{6}$ = 2×2×2×2×2×2 = 64通り!
- 組分け: 偏りなく分ける。基本的に、全ての組に一定数の人・物を配置。
- 重複順列: 偏りがある前提。分ける組の1つに、誰も配置されなくてもOK!
組分けも合わせて押さえよう!
出題パターン: 重複順列問題の見分け方
重複順列の問題は、以下の2つのポイントで見分けることができます!
- 典型問題を覚える
- 問題文でのキーワードから判断

それぞれ詳しく見ていくよ!
典型問題4選を覚える
受験数学には、型・パターンがあります。
重複順列にも、決まった出題パターンがあります。

ここでは、重複順列のお決まりのパターンを4つ紹介します。それぞれの解き方や考え方は最後の入試問題4選で解説します!
- 整数や文字の並べ替え問題
異なる数字や文字を繰り返し使ってできる整数や文字列の総数を求めます。
- 箱入れ・組分け問題
果物、玉や物などをA, BやX, Yなど名前のついたの箱に入れる方法を求めます。
組分け問題はこちらでも解説しています!
- 部屋割り問題
ある一定数の人を2つ以上の部屋に割り当てる方法を求めます。問題文にあるキーワードを要チェック!
- 部分集合の個数を求める問題
公式$n^{r}$を使って、ある集合の部分集合の個数を求めます。問題演習のところで最強公式を伝授します!
問題文のキーワードから判断!
重複順列は、異なるものを繰り返し使って一列に並べる順列です。

だから、問題文に「繰り返し」を意味するキーワードがあれば重複順列の問題と判断できる!
ここでは、入試頻出のキーワードを列挙しておきます!

最後に、ここで学んだキーワードを使って重複順列の問題を解いてみよう!
重複順列の入試問題4選

どの部分が$n$で、どの部分が$r$になるのか、公式$n^{r}$をうまく使いながら一緒に考えていこう!
整数の並べ替え問題

上の4つの数が書かれたカードを並べてできる4桁の整数はいくつあるか。ただし、同じ数字は何度でも使ってもよいとする。

「同じ数字は何度でも使っていい」のキーワードがある!重複順列だ!
公式$n^{r}$を正しく活用するには、どれが$n$でどれが$r$なのかの判断が大切です!
実際に問題をイメージすることで、正しく判断できるようになります!
0~3の4つの異なる数字を繰り返し使って4桁の整数を作ります。

4桁なので、4つの場所(千、百、十、一の位)に1つずつ数字を置くイメージをします!
繰り返し同じ数字が使えるので、
どの位も0~3の4つの選択肢があるから$4^{3}$=64通りとするのは間違いです!

なぜなら、与えられた数字に0があるからです。
0が最高位(千の位)にきてしまうと桁数が1つ減ります。


なるほど!じゃあ、最高位に0を置かないように数字を並べる必要があるのか!
最高位には0を置けません。そのため、123の3つの数字が考えられるので3通り!

残りの位は、0~3の4つ数字を繰り返して置くことができるのでそれぞれ4通り!

つまり、百、十、一の位は4通りの数字$n$が、合計3回$r$続くので$4^{3}$。
あとは積の法則でまとめて、
4桁の整数 = 各位の通り(千、百、十、一)
= 3通り(千の位)×$4^{3}$ = 192通り!
(解答終了)

整数の並べ替えで0がある時は0が最高位に来ない並べ方を考えよう!
このように、「0が最高位に来ない」のような条件の下で並べる順列を条件付き順列と言います。
こちらで詳しく解説しています!
果物の箱入れ問題(組分け応用問題)

重複順列の考え方を応用した組分けの問題だ!重複順列の考え方を理解すれば簡単に解けるよ!

上の3種類の果物を2つの箱A, Bに入れる時、次の場合の数を求めよ。
- 果物が1つも入らない箱があってもよい場合。
- どの箱にも最低1つは果物が入っている場合。

果物をどちらかの箱に偏って並んでもいいので重複順列を使おう!


ここでは、果物それぞれに箱A, Bの2通りの選択があると考えます!

これを公式を使って表します!

$2^{3}$ = 2×2×2 = 8通り!
実際に樹形図を見ても8通りの入れ方があるのが分かります!

(解答終了)
②どの箱にも最低1つは果物が入っている場合

どちらかの箱に偏って並べたらダメなので、重複順列から偏っている分の並べ方を引こう!
重複順列−偏っている分=どの箱にも1つは果物あり
- 偏っている分=箱Aだけに果物がある場合+箱Bだけに果物がある場合
①で重複順列は全部で8通りと求めました。
そのうち、1つも果物が入っていない分を引けば、「どの箱にも1つは果物がある」の条件が満たされます。

- 果物が全て箱Aに入っている場合
- 果物が全て箱Bに入っている場合

これら2通りを引けば、どの箱にも1つは果物があることになります!

8通り(重複順列)−2通り(偏り) = 6通り!
(解答終了)
応用問題(難): 部屋割り

7人を2つの部屋A, Bに入れるとき、以下のような入る方法はいくつあるか。
- 1人も入らない部屋があってもよい場合
- どの部屋にも少なくとも1人は入る場合

「1人も入らない部屋=空き部屋があってもいい」のキーワードなので重複順列だ!
7人を2つの部屋A, Bに分けるので、
7人それぞれにA, Bの2通りの選択肢があると考えます。

これを重複順列の公式で表します。

2通り$n$が7回$r$続いているので、
$2^{7}$ = 2×2×2×2×2×2×2=128通り!
(解答終了)
②どの部屋にも少なくとも1人は入る場合

重複順列から、部屋Aにしか人がいない場合と部屋Bにしか人がいない場合を引けばいいんだ!


- 部屋Aにしか人がいない場合=1通り
- 部屋Bにしか人がいない場合=1通り
合計2通りを重複順列全体から引きます。
128通り−2通り(偏り) = 126通り!
(解答終了)
部分集合の個数

部分集合の個数を求める問題も、重複順列では頻出です!簡単に解けるコツを伝授します!
3つの要素を持つ集合{1, 2, 3}の部分集合の個数はいくつあるか。
- 集合: 特定の条件に合ったグループをまとめたもの。
例: 奇数の集合{1, 3, 5, 7, 9….}
- 部分集合: 集合の中身の一部や全てからなる一部分の集合。また、空集合$\phi$(ファイ)は全ての部分集合です。
- 部分集合の求め方のコツ
例: {1, 2}の部分集合
- まず集合の中身それぞれ: {1}, {2}
- 集合の中身全体: {1,2}
- 空集合は全ての部分集合: {$\phi$}
よって部分集合は、{1,2}, {1}, {2}, {$\phi$}
部分集合の個数を聞かれたらこの最強公式を使おう!
部分集合の個数は、$2^{要素の個数}$
- 要素: 集合の中身のこと
例: 集合{a, b}の要素は, {a}, {b}で2つ。
問題では、3つの要素を持つ集合{1, 2, 3}なので、
公式に代入して$2^{要素の個数}$=$2^{3}$ = 8個!

この公式を覚えれば、例え集合の要素が7個でも、10個でも簡単に解けるんだ!
- 7つの要素を持つ集合{a,b,c,d,e,f,g}の部分集合
$2^{要素の個数}$=$2^{7}$ = 128個!
- 10個の要素を持つ集合{0,1,2,3,4,5,6,7,8,9}の部分集合
$2^{要素の個数}$=$2^{10}$ = 1024個!

$2^{要素の個数}$は暗記しておこう!
最後に: 重複順列まとめ
いかがだったでしょうか?
本記事で、重複順列のポイントやイメージが理解できたと思います。
さらに、同じものを含む順列も読んで重複順列との違いをさらに理解しよう!
以下が本日のまとめです!
- 重複順列: 異なるものを繰り返し使って一列に並べる順列
- 公式: $n^{r}$
$n$通りを$r$回繰り返したものと覚えよう!
- 同じものを含む順列は、重複順列とは違って同じものを並べる。
- 組分けは、重複順列とは違って偏りなく分ける。
- 典型問題4選を覚えよう!
- 重複順列のキーワード覚えよう!
- 部分集合の個数は$2^{要素の個数}$!
本サイトでは、大学受験必須のその他順列も全て公開しています!参考までに!
- 同じものを含む順列
- 条件付き順列
- 隣り合う・合わない順列
- 円順列
- 数珠順列
本日もお疲れ様でした!
重複順列って何?どんなイメージ?他の順列や組分けとどう違うの?