どうも!受験数学ラボのダイです。
反復試行の公式が全く覚えられない!
反復試行ってなんとなく意味は理解できても、公式は見た目が複雑で覚えるの大変ですよね。
そんな皆さんに朗報です。反復試行では、公式は覚えなくていいんです!
実は反復試行は、3つの最強解法テクニックを知っておけば解けます。
- 組み合わせを使ってパターンを求める
- ターゲット事象の確率とそれ以外の確率
- 求めた組み合わせと確率を試行回数分かけ算
反復試行の公式もこの考えに基づいてるので、この解法手順を理解すれば
公式なんて忘れても導けるし、何より問題が解けるようになります。
この記事を読んで、ぜひ反復試行解法テクニックをマスターしてください。
目次
反復試行とは?
反復試行は、教科書では以下のように定義されます。
同一条件のもとで独立な試行を繰り返す時のその一連の試行のこと
言ってしまえば、同じ条件のもとで繰り返して連続で行う試行です。

例えば、以下のような試行は反復試行の典型例です。
- サイコロを3回続けて投げる
- コインを5回続けて投げる
- くじ引きをして、AからBの順番で引く
- A, Bのそれぞれの箱から玉を2個取り出して、元に戻す試行を3回続ける
- 1枚の硬貨を5回続けて投げる
- AとBがじゃんけんを3回続けて行う
反復試行は同じ試行を複数回行うことがポイントです。問題文では、「〜回続けて」のようなキーワードがあり、これは出題者から「反復試行ですよ!」というメッセージです。
くじ引き問題では、「AからBの順番で引く」や玉の取り出し問題では「取り出した玉を元に戻す」など同じ試行を複数回行う上での条件が明記されることもあります。
ある試行を複数回連続して続ける場合は、反復試行です!
反復試行の公式
1回の試行で事象Aの起こる確率を$p$、その余事象の確率を$q = 1-p$とするとき、この試行を$n$回繰り返して行うとき、事象Aがちょうど$r$回起きる確率は
${}_n C_r$ $p^{r}$$q^{n-r}$
この公式の考え方を一言で言うと、
試行のパターンを考えて行う回数分掛けてしまえばいい
一般的な確率の問題では、ある事象の確率に焦点を当てて計算しますよね。
例えば、サイコロで5の目が出る確率は
- 5の目=1通り
- サイコロ全体=6通り
確率=$\frac{特定の事象の数}{全体の数}$=$\frac{1}{6}$だね!
これは反復試行でも同じです。
しかし、反復試行では試行が複数回連続で起きるので、それに応じて事象(試行の結果)の数も増えます。
サイコロ3回投げると、1回目「2の目」、2回目「5の目」、3回目「4の目」。それぞれの試行において結果が出るので、3回サイコロを投げると3つの結果(事象)が考えられます。
そして、「試行が複数回起きる=その結果の数も増える」とパターンを考える必要があります。
なので、反復試行では以下の3つの手順が必要になります
- 組み合わせでパターンを求める
- ターゲット事象の確率とそれ以外の確率
- 求めた組み合わせと確率を試行回数分かけ算
ステップ1:組み合わせ(C)でパターンを考える
例えば、「サイコロを3回投げて、5の目がちょうど2回でる確率」
この場合、何回目に5の目が出てもいい。でも、必ず2回は5の目でないといけません。
もっとイメージがしやすいように表にしてみましょう!

3回の試行でちょうど2回5の目が出るパターンは、全部で3通りです。
これは組み合わせ(C)を使うことで一瞬で求められます。
組み合わせ
3回の試行のうち、2回5の目が出る=${}_3 C_2$=$\frac{3×2}{2}$=3通り
表の答えと同じですよね!
ついでになぜ反復試行では組み合わせ(C)で、順列(P)ではないのかも押さえておこう!
- 順列=あるいくつかのものに順序をつけてそれらを1列にまとめて並べること
- 組み合わせ=あるいくつかのものから、順番を考慮することなく取り出す
反復試行では順番を一切考慮する必要がないので、順列(P)ではなく組み合わせ(C)を使います。
例えば、「3回試行をする中で、ちょうど2回5の目が出る」
順番に関係なく(1回目、2回目)、(2回目、3回目)、(1回目、3回目)のように
5の目が2回出ればオッケーです。順列では選ぶ際に順番をつけて同じものでも区別するので
(1回目、2回目)、(2回目、1回目)は同じですが、違うものとして区別します。
反復試行では順番は一切関係ないので順列とは相性が良くないのです。
順列に関してのまとめ記事はこちらから!
ステップ2:ターゲット事象の確率とそうでない確率
ここでいうターゲット事象とは問題文で問われている確率のことです。

「サイコロを3回投げて、5の目がちょうど2回でる確率」では
5の目がでるがターゲット事象(求めるべき確率)です。
サイコロで5の目が出る確率=$\frac{1}{6}$
そして、ターゲット事象の後にそうでない反対事象の確率(余事象)を考えます。
3回の試行のうち、5の目が出ていいのは2回だけです。
しかし、今回の試行の回数は全体で3回です。
つまり2回は5の目が出て、残りの1回は「5の目が出ない」
そうでない場合の確率。余事象を考えます。
余事象はある事象が起こらない場合。つまり、ある事象Aの反対の事象!
「5の目が出る」の反対を考えればいいので、「5の目が出ない」
つまり、「5以外の目が出る」が余事象です!
5の目以外は「1の目」「2の目」「3の目」「4の目」「6の目」の5通り
全体は1〜6の6通りなので、5の目以外の確率=$\frac{5}{6}$
余事象の確率〜公式・記号、見分け方を分かりやすく解説!〜
ステップ3:求めた組み合わせと確率を起こる回数分かけ算
さて、上記のステップで求めたものは以下の通りです。
- 組み合わせ=${}_3 C_2$
- ターゲット事象の確率=$\frac{1}{6}$
- そうでない確率(余事象)=$\frac{5}{6}$
あとはこれらを起こる回数分かけます。
ターゲット事象(5の目が出る)は、ちょうど2回起こるので=$\left(\frac{1}{6}\right)^{2}$
そうでない事象は1回しか起こらないので、そのままで$\frac{5}{6}$
これを1つの式にまとめると、
${}_3 C_2$×$\left(\frac{1}{6}\right)^{2}$×$\frac{5}{6}$=$\frac{5}{72}$
これが反復試行の公式の全てです。
複数回試行を行うので、パターンを考える。
ターゲット事象の確率を求めて、ターゲット以外の事象の確率も考える。
最後に、確率を起こる回数分かけて1つの式にまとめる
公式を暗記というよりも、2つのステップで反復試行を解くことで
たとえ公式を忘れても問題を解くことができるようになります!
独立試行との違い
反復試行と独立試行ってどう違うの?
実は、反復試行は独立試行の別パターンです。
独立試行は、2つの試行が互いに影響を与えないかを区別するものです。
- 赤玉5個、白玉4個の箱から1個玉を取り出す。玉を確認して戻した後にもう一度1個玉を取り出す
この場合、1回目に玉を取り出す試行と2回目に玉を取り出す試行は独立と言えます。
1回目に何の玉を取っても、2回目の試行(の確率)に影響を与えないからです。
反復試行は、その独立な試行を何度も繰り返した場合のことです。
- 赤玉5個、白玉4個の箱から1個玉を取り出して、元に戻す試行を3回行う
独立な試行を繰り返して行う場合は、反復試行
まとめると、
- 独立試行=2つの試行が互いに影響を与えるかどうか
- 反復試行=独立な試行を何度も繰り返したとき(独立試行の別パターン)
独立試行と反復試行は、試行回数に違いがあるだけで
独立試行を2回以上続けてやると、独立試行は反復試行に名前を変えるんです!
反復試行は、独立な試行を複数回続けて行うので
- 全体の試行のうちターゲット事象が起こるパターン
- ターゲット事象が起きない場合(余事象)
この2つを独立試行の考え方に追加して考える必要があります。
しかし、「同時に連続して起こる」イメージが同じなので
計算方法は同じくかけ算が使えます!
反復試行を使ってサイコロ問題を解いてみた
1個のサイコロを6回連続で投げるとき、4以下の目がちょうど4回出る確率を求めよ。

これも先ほど紹介した3つステップで解くことができます。
- 組み合わせでパターンを求める
- ターゲット事象の確率とそうでない確率
- 求めた組み合わせ、確率とそうでない確率を起こる回数分かけ算
6回の試行の中で、4回4以下の目が出る。
(1回目、2回目、3回目、4回目)とか(1回目、3回目、5回目、6回目)とか
いくつかのパターンが考えられますね。
今回のターゲット事象は、4以下の目が出る確率です。
そうでない余事象は、「4以下が出ない」=「5以上の目が出る」です
最後に、求めたものを起こる回数分かけて計算します。
それぞれ具体的にみていきましょう!
ステップ1:組み合わせ(C)でパターンを求める
6回の試行の中で、4回4以下の目が出るパターンは
組み合わせを使って、
${}_6 C_4$=$\frac{6×5×4×3}{4×3×2}$=15通り
つまり6回試行を行う中で、(1回目,2回目,3回目,4回目), (2回目,3回目,4回目,5回目)…..のような4回4以下の目が出るパターンが15通り考えられるということです。
ステップ2:ターゲット事象とそうでない確率
ターゲット事象4以下の目が出る確率を求めていきましょう!
サイコロで4以下の目は{1の目, 2の目, 3の目, 4の目}の4通りです。
サイコロは1〜6の目の6面で全体は6通りです。
これを確率で表すと、確率=$\frac{ターゲット}{全体}$=$\frac{4}{6}$
これを約分すると、確率=$\frac{2}{3}$
ターゲット事象のあとは、そうでない場合だね!
そうでない余事象=5以上の目が出るです。5以上の目は{5の目, 6の目}の2通りしかないので
確率=$\frac{5以上の目}{全体}$=$\frac{2}{6}$ = $\frac{1}{3}$
ステップ3:求めた組み合わせ、確率を起こる回数分かけ算
求めた組み合わせ、確率は以下の通りです。
- 組み合わせ=${}_6 C_4$
- ターゲット事象=$\frac{2}{3}$
- そうでない余事象=$\frac{1}{3}$
後はこれらを起こる回数分かけて計算します。
ターゲット事象(4以下の目)は4回起きるので、$\left(\frac{2}{3}\right)^{4}$
そうでない余事象は2回起きるので、$\left(\frac{1}{3}\right)^{2}$
最後に、組み合わせもまとめてかけ算して
${}_6 C_4$×$\left(\frac{2}{3}\right)^{4}$×$\left(\frac{1}{3}\right)^{2}$=$\frac{80}{243}$
6回の試行で4回4以下の目が出る確率は$\frac{80}{243}$です!
反復試行の応用問題を解いてみた
裏表が出るコインを5回投げる試行を行う。この時、4回以上表が出る確率を求めよ。

これは反復試行の中でも難しい応用問題にあたります。
なぜなら場合分けが必要だからです。
まず同じ試行を5回行うとあるので、複数回の試行=反復試行だとわかります!
5回の試行の中で4回以上表が出るを考えた時、
- 4回表が出る
- 5回表が出る
これら2パターンを考えることができます。
これら2つは同時に起きることがありません。
この場合1つの式でまとめて計算できないので、それぞれの場合を別々で計算して後で合算します。
イメージとしては、
4回表が出る確率+5回表が出る確率=4回以上表が出る確率
同時に起こらない=「場合分け」=足し算
同時に起こる=1つの式にまとめてかけ算
場合分け①:4回表が出る
まず、組み合わせのパターンを考えていきましょう。
5回の試行のうち4回表が出る組み合わせは、${}_5 C_4$ = 5通り
今回のターゲット事象は、表が出る確率です。
コインを投げて、表が出る確率は1通り。コイン全体は表と裏なので2通り
これを確率で表すと、$\frac{表}{全体}$ = $\frac{1}{2}$
そうでない余事象は、「表が出ない」つまり「裏が出る」確率です。
ちょうど4回表が出るためには、残り1回は必ず裏が出ないといけません。
コイン全体は2通り、裏が出る通りは1通りしかないので
裏が出る確率 = $\frac{裏}{全体}$ = $\frac{1}{2}$
後は、求めた確率を起こる回数分かけてまとめて計算します。
ターゲット事象(表が出る)は4回起こります=$\left(\frac{1}{2}\right)^{4}
そうでない余事象は1回しか起こらないので、そのままで$\frac{1}{2}$
最後に求めた全てのものをまとめて
${}_5 C_4$×$\left(\frac{1}{2}\right)^{4}$×$\frac{1}{2}$=$\frac{5}{32}$
場合分け②:5回表が出る
同じくまずは組み合わせのパターンを考えていきましょう。
5回表が出るパターンは、1通りしかありません!
5回サイコロを投げて結果は全て表なので他のパターンを考える必要がないんです!
ちなみに、組み合わせを使っても5回サイコロを投げて、5回表が出るは
${}_5 C_5$=$\frac{5×4×3×2}{5×4×3×2}$=1通り
ターゲット事象は、表が出るです。
表が出る確率は$\frac{1}{2}$です。
今回の場合はそうでない余事象を求める必要がありません。
5回サイコロを投げるときに、5回全てで表が出るので
そうでない場合は存在しないのです。
例えば、今回のそうでない余事象「表がでない」=「裏が出る」として
余事象の確率=$\frac{1}{2}$としてもいいのですが、
起こる回数分をかけるとき、この事象は起こらないので0(ゼロ)をかけてなくなることになります。
ターゲット事象(表が出る)を起こる回数分かけてまとめます
ターゲット事象は5回起きるので、$\left(\frac{1}{2}\right)^{5}$
求めた全てのものをまとめて
1×$\left(\frac{1}{2}\right)^{5}$=$\frac{1}{32}$
最後に、5回コインを投げて、4回以上表が出る確率をまとめると
4回表が出る確率(場合分け①)+5回表が出る確率(場合分け②)=4回以上表が出る確率
$\frac{5}{32}$ + $\frac{1}{32}$ = $\frac{6}{32}$ = $\frac{3}{16}$
最後に:反復試行のまとめ
いかがだったでしょうか?
以下に本日のまとめを書いておきますね!
- 反復試行=同じ条件のもとで繰り返して行う試行
- 反復試行は、独立な試行を2回以上行ったバージョン
- 反復試行は、組み合わせ(C)でパターンを求めて、
- ターゲット事象とそうでない確率を起こる回数分かけてまとめる
反復試行の公式は、3つのステップに分けて理解することで
同時に公式の証明を理解できるし、何より暗記する必要がなくなります。
公式の暗記から入るのではなく、
「組み合わせでパターンを求め、ターゲット事象とそうでない確率を考えてまとめる」
この流れをしっかりと押さえておきましょう!
反復試行ってなんやねん?いつ使うの?