どうも。受験数学ラボのダイです!


独立じゃない時はどうするの!?
今日はこのような疑問にお答えしていきたいと思います!
この記事を読んで、独立の意味を理解して排反事象との違いまでしっかり見ていきましょう!
目次
独立試行とは?
定義
言ってしまえば、
2つの試行の確率が互いに影響しない
2つ以上の試行(実験やゲーム)を行ったときに、最初に行った試行が次に行う試行の状況に影響を与えない場合を独立であるもしくは独立試行と言います。
- 試行: 実験やゲームのこと(例: サイコロを投げる)
例えば、以下の2つの試行。
- 1枚の裏表が出るコインを投げる
- 1つのサイコロを投げる試行


コインを投げた後にサイコロを振る場合、コインの結果がどうであれサイコロの結果にはいっさい影響しません。
これはコインを投げる試行とサイコロを投げる試行が独立だからです。
コインで表が出たら、サイコロで偶数の目が出やすい
こんな怪奇現象はありえないはずです。
ある連続して行う試行で、最初の試行が次の試行の状況を変化させているかどうか。

サイコロを2回投げる試行も独立です。だって、1回目のサイコロの出目がなんであっても、2回目のサイコロの結果には影響しません。サイコロを投げるという行為の1回1回が独立しているからです。
独立でないの意味

独立でないとはどういうことですか?
独立でないは、独立の反対なので
試行が互いに影響し合う

ある試行をした結果、次に行う試行の状況や確率に変化・影響を及ぼすこと。
具体例を使ってみていこう!
くじ引きを使って説明してみた
7本くじの中に当たりくじが2本ある。たけしが最初に1枚のくじを引いて、その後にゆうじも1枚くじを引く。ただし、引いたくじは元に戻さないこととする。


まず結論から言います!これは独立でない典型パターンです!
なぜなら、たけしが何を引くかによって、ゆうじが当たりを引く確率に影響を与えるからです。
例えば、たけしが当たりを引いたら、当たりくじの残りは1本に減ります。
つまり、ゆうじが当たりを引く場合は1通りだけになります。
しかし、たけしがハズレを引いた時、当たりくじの2本全てゆうじに残るので、ゆうじが当たりくじは2通りに変化します。
- たけしが当たり→ゆうじが当たる確率低くなる
- たけしがハズレ→ゆうじが当たる確率高くなる
これを確率計算してまとめると、
全体はたけしが引いた後の残りくじ数6本なので
- 事象A: ゆうじが当たりを引く確率=$\frac{1}{6}$
- 事象B: ゆうじが当たりを引く確率=$\frac{2}{6}$
事象A(約16%) < 事象B(約33%)
事象B: たけしが当たりを引かない場合の方が明らかに、ゆうじが当たりを引く確率が倍以上高くなっていることが分かります。

たけしのくじ引きの結果がゆうじが当たりを引く確率に影響を与えるので、独立ではない。
独立試行のキーワード
今回のくじ引き問題で、本問題を独立でなくするキーワードがあります。
それは、引いたくじは元に戻さないこととする
くじ引き問題では、引いたくじをどうするかによってアプローチが多く変わってきます。
引いたくじを戻さない場合、たけしが当たりを引くと当たりくじ全体2本の本数が1本に減ってしまうので、ゆうじの当たりを引く確率が減りました。
では、引いたくじを元に戻す場合はどうでしょう?
たけしが当たりを引くことに関わらず、結局たけしが引いたくじは元の抽選箱に戻されます。
言い換えると、たけしが当たりを引くかどうかは関係ありません。
ゆうじの当たりを引く通りは当たりくじ全体の数2本となって安定します。
「引いたくじを元に戻す」や「取り出した玉を元に戻す」など1回目の試行に後にリセットして、最初の試行と同じような環境に戻すとき、それらの試行は独立となる
公式
独立試行の確率は以下の公式を使うことで、かけ算で求められます!
事象Aが起こり続けて事象Bが起こる確率は
P(A∩B) = P(A) × P(B)
*P=Probability(確率)の頭文字

ここでのポイントは、2つの試行が連続して起こるときの確率はかけ算ということです!さらに詳しくみていくよ!
連続して起こる=かけ算
独立試行で大切なのは、試行同士が影響を与えるかどうかですが
さらに独立試行は、2つの試行が連続して起きることです。
例えば、先ほどのくじ引きの例を思い出してください。
たけしが引いて、ゆうじもくじを引く。
2人が順番に連続してくじを引く試行でしたね!


確率の問題では、連続して試行が起きる場合の確率はかけ算!
そのため独立試行は、それぞれの試行の確率を掛け合わせます。
実は確率にはもう1つかけ算で確率を求める場合があります。
それは、2つの事象が同時に起こる場合です。
例えば、「大小2つのサイコロを同時に投げる」
このように2つの試行が同時に起こることを積事象と言います。
確率では、以下のパターンの時かけ算で確率計算をします。
- 2つの事象が同時に起きるとき
- 2つの事象が連続して起きるとき
確率計算の足し算とかけ算の区別はこちらをお読みください。
排反との違い

確率では多くの専門用語が出てくるので、多くの受験生が混乱するんだ。その1つの例が、排反と独立です。しっかり押さえておこう!
排反も独立も2つの物事の関係性を分析するという点は同じですが、その対象や分析の基準そして計算方法が違ってくるんだ。
排反と独立は主に以下の2つの点で違います。
- 対象が違う
- 計算方法が違う
その前にまず排反とは?
排反とは、ある2つの事象(試行の結果)が
同時に起きない場合のことです
「同時に起きない」つまりどちらか一方しか起きない

例えば、1個のサイコロを1回投げて
- 事象A: 1の目が出る
- 事象B: 3の目が出る
これらの事象は同時に起きるでしょうか?

1回しかサイコロを投げないので、どっちか1つじゃないと無理ですよね
2個のサイコロを同時に投げて場合は、1の目&3の目は同時に起きますが
1個のサイコロを1回で、2つの違う目は無理ですよね。
だから、この事象A, Bは排反であると言います。
排反(事象)とは、2つ以上の事象が同時に起きない。どちらか一方が起きる場合のこと。
排反と独立の違いその①: 対象が違う
独立と排反ではそもそも扱う対象が違います。
独立では、連続で行う試行を指します。
例えば、「コインを投げて、サイコロを投げる」のように。
そして、それらの試行が互いに影響を与えるかどうかを見ます。
逆に、排反ではその試行の結果にフォーカスを当てて、それらの事象を比べて同時に起きるかを確認します。
コインで表が出て、サイコロを投げる。これは同時に起きる事象、だから排反!みたいに。

排反と独立の違いその②: 計算方法
独立と排反のもう1つの違いは確率の計算方法です。
独立試行の場合は、2つ以上の試行が連続して起こるのでそれぞれの試行の確率を掛け合わせます。
逆に、排反では、2つの事象が同時に起きるません。つまり、事象AもしくはBのどちらか一方しか起こらないので、場合分けが発生します。

排反では、独立試行のように1つの式にまとめて計算することができません。別々で計算した後に足し算でまとめるという手順になります。
例えば、1個のサイコロを1回投げて3以下の目または5以上の目が出る
1個のサイコロを1回しか投げないので、3以下の目と5以上の目は同時に起きません。
- パターン1: 3以下の目の確率
- パターン2: 5以上の目の確率
このように2つの確率をそれぞれ求めて足し算でまとめます。
以下に独立と排反の計算の違いをまとめです!
独立な試行では連続して起きるので、確率をかけ算
排反事象の時は同時に起こらないので、確率を足し算
独立試行の問題: サイコロ編
サイコロを5回連続して投げる時、5回とも奇数の目が出る確率を求めよ。

サイコロを5回連続で投げる試行は独立です。
1回目になんの目が出ようが、それは2回目、3回目の結果に影響しません。
連続して起こる試行の確率はかけ算ですよね!

独立試行の公式 P(A) × P(B)ですね!!
まず、サイコロで奇数の出る通りは「1の目」「3の目」「5の目」で3通りです。

サイコロを1回投げるとき、全体は6通り。
なので、奇数が出る確率は
確率(P)=$\frac{奇数が出る}{全体}$=$\frac{3}{6}$= $\frac{1}{2}$
今回の試行ではこれを5回連続するので
この$\frac{1}{2}$を5回かけます!
$\left(\frac{1}{2}\right)^{5}$ = $\frac{1}{32}$
問題文を読んで判断し、サイコロを5回投げる試行=独立
だから。それぞれの確率をかけ算する!
さらに詳しく確率計算の仕組みを知りたい方はこちらも参考に!
独立試行の問題: 玉の取り出し方編
独立の場合

ある箱に、赤玉5個と白玉4個入っている。この箱から1個取って確認してから箱に戻す。この試行を3回続けた時、3回とも白玉の確率を求めよ。

まず同じ赤玉でも白玉同士でも確率では区別するので上のように番号を振ります!
ステップ1:独立かどうかの判断
本問題のキーワードは「1個取って確認してから箱に戻す」です。
必ず箱から玉を取り出した後に、元の箱に戻します。つまり、この試行を何回続けても全ての試行における条件は変化しません。
2回目でも3回目でも取り出した球は元に戻すので、袋の中は安定で赤玉5個と白玉4個になります。

3回連続で玉を取り出す試行だが、「玉を元に戻す」という独立キーワードがあるので、本問題は独立です。つまり、かけ算で確率が求められます!
ステップ2: 全体と3回とも白玉の確率
まず、全体の数は赤玉5個と白玉4個なので、5 + 4 = 9通りになります!
全体9通りのうち、白玉は4個なので
確率=$\frac{白玉の数}{全体}$=$\frac{4}{9}$
求める確率は3回とも白玉なのでこれを3回かけると
$\left(\frac{4}{9}\right)^{3}$=$\frac{64}{729}$

1回の試行当たり白玉が出る確率が$\frac{4}{9}$と分かったのでそれを3回続ける試行なので3回かけるの手順だね!
独立でない場合

ある箱に、赤玉5個と白玉4個入っている。この試行を3回続けた時、3回とも白玉の確率を求めよ。ただし、取り出した玉は元の箱に戻さないこととする。
先ほどの問題に少し手を加えてみました。今回は独立ではないパターンです。

キーワードが「玉を元の箱に戻さない」に変わってる…
そうです!今回は、取り出した玉を元に戻しません。
つまり玉を取り出す試行を3回続ける時、1回目に白玉を取るか取らないかで2回目以降の
白玉を取る確率に影響を与える
- 1回目に白玉を取った場合の2回目に白玉を取る確率
1回目に白玉を取ると、2回目に残る白玉の数は3個。
全体の玉の数は、取り出した玉を元に戻さないので9-1 = 8通り
つまり、2回目の白玉の確率は$\frac{3}{8}$ (約38%)
- 1回目に白玉を取らなかった場合の2回目に白玉を取る確率
1回目に白玉を取らないと、2回目に残る白玉の数は4個。
全体の玉の数は、取り出した玉を元に戻さないので9-1 = 8通り
つまり、2回目の白玉の確率は$\frac{4}{8}$ (約50%)
独立ではない場合単純に公式を使ってかけ算をすることはできません。
取り出した玉を戻さない。つまり、試行をするたびに全体の玉の数(確率の分母)が減っていくのでそれを考慮しながら計算をしていきます。
(1) 1回目が白玉の確率は、全体の数9個、白玉4個=$\frac{4}{9}$
(2) 2回目に白玉の確率は、1回目の試行で玉が1個減少しているので8通り。
そして、白玉の数も1個減っているので3個。2回目の白玉の確率=$\frac{3}{8}$
(3) 3回目に白玉の確率は、先ほどよりもさらに全体の数は1個減少しているので7通り。
そして白玉の数も減っているので2個となります。確率= $\frac{2}{7}$
「連続で同時に起こる試行」なのでかけ算を使って、
P = $\frac{4}{9}$ × $\frac{3}{8}$ ×$\frac{2}{7}$ = $\frac{1}{21}$

独立でない場合は、取り出した玉を元に戻さないので取り出す度に全体の数は減っていきます。式を組み立てるときは絶対に忘れずに!
最後に:独立試行の確率まとめ
いかがだったでしょうか?
本日のまとめを以下にまとめておきます!
- 独立とは、「試行同士が影響を与えないこと」
- 逆に独立でないは、「互いに影響を与える」。最初の試行が次の試行の確率に影響を与える。
- 独立試行は「連続して同時に起きる」ので、独立の時は試行同士の確率をかけ算!
本記事で取り扱った玉の取り出し方やサイコロ問題は、独立試行の定番入試問題です。
その他の頻出パターンも以下にまとめておきます。参考までに!
- 1枚のコインと1つのサイコロを投げる
- 1つのサイコロを複数回投げるパターン
- じゃんけん問題(じゃんけんの平等性が独立の考え方と相性がいいです)
- くじ引き問題
- あるカード束からを複数の人が一定数を引くパターン
独立って何??なんでかけ算?