どうも!受験数学ラボのダイです。
確率用語ってなかなか直感的に理解するの難しいですよね。


やたらと専門用語が多くてもう何からやればいいのか分からん…
今日はそんな疑問にお答えするために
厳選した確率用語12選を徹底解説します!
この記事を読んで頻出用語の意味をしっかり押さえましょう!
目次
試行とは?

試行とは、起こりうる結果がいくつかあり、どれが起こるかは偶然で決まる手順のことである。
一言で言うと「実験・ゲーム」のことです。
ある予測や仮説があってそれが本当なのかを見るために実験をします。
例えば、「サイコロを1回投げた時、奇数の目ってどれくらいの頻度で出るのかな?」
その疑問を実際にサイコロを投げて試しその結果をみてみよう!
これを試行と言います。
- サイコロを投げる
- 1~20の数字がそれぞれ書かれたカードから1枚を引く
- コインを投げる
- ある箱の中から1つの玉を取り出す
英語では試行はtrial(試す)やexperiment (実験)といい、予測や仮説を実験するニュアンスを含んでいます。
そして、確率の試行においてさらに重要な考え方があります。
同じ条件のもとで繰り返し行う事ができて、その結果は偶然によって決まる
これを簡単に言い換えると、
試行の結果は私たちが人為的に決めるべきではなく、試行自体によって決められる
サイコロを投げて「1の目が出る」時もあるし「5以上の目が出る」も出る。
これは私たちが決めるのではなく、偶然の出来事ですよね。
下のようなサイコロがあったらどうでしょう?

2の目が出やすいように細工したサイコロ。
奇数の目が1つしかないので、偶数もかなり出やすいです。
このサイコロを使って「偶数の目が出ます!」っていっても「それはそうだろ!」「イカサマ!」ですよね。実験する価値なしです!
試行の結果は「偶然によって決まる」はとても重要なんです。
私たちは、この公平な条件下の元で実験をすることでその結果を確率として計算する事ができるのです。
事象とは?
事象とは、試行によって起こりうる結果をいくつか集めたもの。
言ってしまえば「試行の結果」のことです。
ある試行(実験)をすると….
基本的に何かしらの結果って出ますよね。それが事象です!
試行して → 結果が出る

サイコロを1回投げる試行をしたら、その結果3の目が出た。この「3の目が出た」が事象です。
サイコロで「偶数の目が出る」やコインで「表が出る」も全て試行の結果で事象です。

確率問題ではよく複数の事象を用いて、それらの関係性を考えて問題を解くんだ!
数学では、よく事象A, Bと名前をつけます。
そして、事象の中身を具体的にイメージしやすいようにします!こんな感じで!
- 事象A: 「3以下の目が出る」
- 事象B: 「奇数の目が出る」
よく確率では「なんちゃら事象」の確率って目にすると思うんですが、
サイコロで9の目が出るみたいに「存在しない」事象には、空事象と名前をつけたり、
「同時に起こる事象」を積事象。このように事象に具体的なイメージしやすい名前をつけます。
根元事象とは?
根元事象とは、1つだけの結果からなる事象のこと。
根元事象はスバリ!
事象の中身の1つ1つにフォーカスしたもの
サイコロを1回振る試行で、偶数の目が出る事象をAとすると
事象A: 偶数の目={2の目, 4の目, 6の目}
{2の目}, {4の目},{6の目}のようにその事象を構成している1つ1つの要素が根元事象です。
今回の根元事象は、{2}{4}{6}になります。
事象の中身の1つ1つに焦点を当てていることから、単一事象と呼ばれることもあります。
事象の構成要素1つ1つに細かく分解しているので、これ以上分けらない事象=根元事象のように捉えてください。

サイコロを投げる試行では、1〜6までの全ての目が結果として期待できるので、下の写真のように1つ1つの目が根元事象と言えます。

ちなみに確率の基本的な考え方に同様に確からしいがあります。
ある試行を行うときその根元事象のどれもが等確率で起こるという意味です。
例えば、サイコロを投げてそれぞれの目が出る確率は全て同じ$\frac{1}{6}$
つまり、{1の目},{2の目}…{6の目}の根元事象の起こる確率が同じ!
さらに詳しく知りたい方はこちらまで!
全事象とは?
全ての根元事象のどれかが起こる事象のことを全事象という。
全事象の意味は、
全(すべて) + 事象(試行の結果)=試行のすべての結果
試行を行った時の全ての結果です。
確率では、記号∪を使って全事象を表します。コインを投げた場合の起こりうる全ての結果は「表」と「裏」なので
全事象∪ = {表、裏}

サイコロの全事象は、サイコロの目が1~6の6通り考えられるので
全事象∪ = {1, 2, 3, 4, 5, 6}
この場合、1~6までのそれぞれの目全てが全事象になります。
全事象は、「根元事象が全てまとまったもの」と言い換えることもできます。
根元事象は、事象を構成する1つ1つの要素で、それら全てをまとめたものが全事象。
でも、記号表記の仕方が少し違います。
全事象∪ = {1, 2, 3, 4, 5, 6}
根元事象={1}, {2}, {3}, {4}, {5}, {6}
まとめるイメージの全事象に対して
1つ1つにフォーカスしている根元事象が見えると思います。
ベン図とは?
ベン図とは、重なる縁やその他の図形を利用し、複数の項目の集合間の関係を図示したもの。
集合や事象の関係を視覚的に表した図です。
問題を解く際に、事象が複数絡ある時ってイメージするのって難しいですよね。
そんな時にベン図を書くことで、2つの事象の関係性が簡単に見えてきます。
例えば、
- 事象A: サイコロ1回で、偶数の目が出る
- 事象B: サイコロ1回で、奇数の目が出る


ベン図で見ると、2つの事象の関係が丸わかりですね!互いの円に重複がなくて、偶数の目と奇数の目で同じ要素がないです。
ベン図を書くことで2つの事象を比較することができ、その関係性を分析できます。
複数の事象の関係性「ある2つの事象が同時に起きるか」などを考えるときとても有効です。その場合は、両方の事象の円に重複している部分があるかどうかを見ます。
余談ですが、ベン図はイギリスの数学学者ジョン・ベンによって考え出されたことから彼の名前をとってベン図となりました。
順列(P)とは?
いくつかのものを順序づけて並べたものの並べ方の総数。

順列とは、あるいくつかのものに順序をつけてそれらを1列にまとめて並べることです。
順列=順番を考慮して一列に並べる
順列は、P(Permutation)を使って以下の公式で計算をすることができます!
異なるn個のものからr個を取り出して一列に並べるときの並べ方の場合の数は、
${}_n P_r$= n ×(n-1)×(n-2)×…..
Nから1つずつ数を減らしてr個かける!
例えば、「5人の人がいるグループから、3人を選んで1列に並べる通りはいくつあるか?」
これを順列の公式に当てはめると、異なる5人(n)から3人(r)を選んで1列に並べるので、
${}_5 P_3$ = 5 × 4 × 3 = 60通り
この場合の順列の考え方としては、
まず、5人から1人を選ぶ=5通り
残り4人からさらにもう1人選ぶ=4通り
さらに残った3人から最後の1人を選ぶ=3通り
なので、5 × 4 × 3 = 60通り
以下の順列まとめ記事も参考までどうぞ!
場合の数「順列」
組み合わせ(C)とは?
区別可能ないくつかの要素の集まりからいくつかの要素を選び出す方法のこと。

あるいくつかのものから、順番を考慮することなく取り出すこと。
順列と違ってただ選ぶだけなので、よく並べない順列とも言います。
組み合わせはC(Combinationの頭文字)を使って求めることができます。
異なるn個のものからr個を取り出した時の組み合わせの数は、
${}_n C_r$ = $\frac{{}_n P_r}{r!}$
先ほど順列でもやった同じ例題を組み合わせで確認して見ましょう。
「5人の人がいるグループから、3人を選ぶ通りはいくつあるか?」
5人(n)から3人(r)を選ぶので、
${}_5 C_3$ = $\frac{{}_5 P_3}{3!}$ = $\frac{5×4×3}{3×2}$ = 10通り
順列では60通りもあったのに、組み合わせでは10通りだけです。
これは、順列では一見同じものでも区別するが、組み合わせでは区別しないからです。
例えば、この5人にそれぞれ名前をつけます。
たろう、みゆ、はなこ、たけし、さくら
順列では、必ず選ぶ時順番をつけて1列にします。この5人からランダムに3人を選んで並べると、
(1)たけし、みゆ、たろう
もう別パターンで行くと、
(2)みゆ、たけし、たろう
あまり大きな変化はありませんが(1)ではたけしが1番目で(2)ではみゆが1番目です。
同じ人を選んでいるにも関わらず順番が違うので、順列ではこの(1)と(2)を完全に区別します。
しかし、組み合わせでは(1)も(2)も同じ3人の人間を選んでいるので同じです!
問題によっては、順列(P)なのか組み合わせ(C)なのか区別をつけることが大切です。
- 順列: 必ず順番を考慮して1列に並べる。並べるときに番号をつけるので、同じもの・人を選んでも順番が違えば違うものとして区別。ABとBAは違うもの!
- 組み合わせ: 順番を考慮しないで選ぶ。ABやBAでも順番を考慮しないので、同じものとしてカウントする。
組み合わせのまとめ記事も参考までに!
場合の数「組み合わせ」
場合分けとは?
一気にまとめて扱うのが難しい問題を、いくつかの場合に分けて分割して考えること。
同時に起こる事がない事象に対して、
別々のパターン・場合に分けて計算すること
ある事象が同時に起きないとき、1つの式にまとめて計算する事ができません。
なので、場合を分けて計算します。
例えば、サイコロを1回投げて「偶数が出る」と「奇数が出る」。
どちらか一方は起こることがあっても、同時に起こることはないですよね。
- 事象A: 偶数の目がでる = {2, 4, 6}
- 事象B: 奇数の目がでる = {1, 3, 5}


事象A, Bの間に共通項が見当たらないです。事象A, Bの円も重複せずに、孤立してる感じです。
場合分けは、事象A, Bに関係性がない時に起こります。言い換えると、事象A, Bの両方を満たす共通項がないときです。
場合分けと次に説明する和事象は事象が同時に起こらないという考えが共通していて相性がいいです。受験数学では「場合分けをしたら、和事象公式を使え」とよく言います。
和事象(加法定理)
2つの事象のいずれかが起きることを和事象と言う。

和事象は簡単にいうと、
事象AまたはBのどちらか一方が起こること
イメージとしては、同時に起こる事がないある事象A, Bを合わせて足したものです。
和事象は、記号∪(読み方:または)を使って、事象A, Bを足してまとめる事ができます。
先ほどの、サイコロを1回投げて「偶数が出る」事象Aと「奇数が出る」事象B

これら事象AとBに両方の円が重複がありません。円はそれぞれ孤立していて、事象AとBを両方満たす共通の要素が1つもありません。
この時、事象A, Bは「同時に起こることがなく、どちらか一方の事象が起こる」として
確率を求めるときは下記の公式を使います。
- P(A∪B)= P(A) + P(B)
和事象公式は、確率を足し算することから「加法定理」とも呼ばれます。
- 条件1:事象A, Bが同時に起きる事がない
- 条件2: 事象A, Bを同時に満たす共通項がない
これらの時、確率は和事象公式1です!
逆に、共通項がある場合は別の公式を使います。

- P(A∪B)= P(A) + P(B) – P(A∩B)
事象A, Bに重複がある時は、
重複の部分を引く必要があります。
そのまま、事象A+事象B をすると
両方の事象の共通項{4}を2回数えることになります。
共通項P(A∩B)={4}を事象A+事象Bから引くことで、同じものを2度カウントすることを防ぐことができます!
さらに詳しい公式の詳細に関してはこちらを!
排反とは?
2つの事象の関係性を見た時、それらの事象が同時に起きる事がないならこれらの事象は排反もしくは排反事象という。
排反は、複数の事象の関係性を分析します。
そしてそれらの事象が
- 「同時に起こらない時」=排反
- 「同時に起きる」=排反でない
このように区別することができます。

さっきの和事象でも同時に起きないをやったよね。排反と和事象は考え方は同じなんだけど、排反は事象が同時に起きるかどうかの判断だけ。和事象はその判断の後の公式の計算のこと。
例えば、和事象の際に使ったこの例題。
サイコロを1回投げる試行をする時
- 事象A=偶数が出る
- 事象B=奇数が出る

これらの事象はどちらか一方は起きることがあっても、同時には起きません。
- 事象A: 偶数の目が出る {2, 4, 6}
- 事象B: 奇数の目が出る {1, 3, 5}
事象A, Bを同時に満たすことのできる共通項がないですよね。
だから、これらの事象は排反(事象)と言えます。
事象AまたはBのどちらか一方は起きるが、
事象A,Bは同時には起きない
これは和事象の考え方と共通しているので、
事象が排反であるときは和事象公式で確率は足し算です!
- P(A∪B)= P(A) + P(B)
- P(A∪B)= P(A) + P(B) – P(A∩B)
排反のまとめ記事も参考までに!
積事象(乗法定理)
「AとBの両方が起こる」という現象に相当する事象のこと。
和事象とは違って、積事象は
2つの事象A, Bが同時に起こる事象
例えば、サイコロを1回投げる試行において、
- 事象A: 6の目が出る
- 事象B: 偶数の目が出る{2の目, 4の目, 6の目}
これらの事象の場合、サイコロで6の目が出たときに自動的に
- 事象Aの条件: 6の目が出る {6}
- 事象Bの条件: 偶数の目が出る{2, 4, 6}
を同時にクリアする事ができます。
だって、6の目=偶数ですよね!
このように、2つの事象に共通項があるとき
これらの事象は同時に起きる。これが積事象なんです!
積事象は記号∩(読み方:かつ)を使います。
2つの事象の共通項つまり、2つの事象を同時に満たす要素を表す事ができます。

今回は{6の目}が事象AとBの両方にあるので、
A∩B = {6}
のように記号を使って2つの事象の共通項を表します!
同時に起きる事象の確率は以下の積事象公式を使って求められます。
P(A∩B) = P(A) ×P(B)
この積事象公式は、かけ算を使うことから乗法定理とも呼ばれます。
詳しい公式の詳細、積事象の意味はこちらまで!
独立とは?
2つの事象のどれも起こる確率がそれぞれ確率の積に等しくなっていること。
確率問題を解く上でよく「2つの試行は独立である」といいますが
確率における独立の意味は
2つの事象は互いに影響を与えない
もっと端的にいうと、
ある試行Aは、試行Bの確率に影響を与えない

ここで理解できなくても大丈夫!具体例を見れば理解できるからね!
以下のようなケースが独立・独立でないか考えましょう!

10本くじの中に当たりくじが3本ある。この時、たけしが最初に1枚のくじを引いて、その後にまゆみも1枚くじを引く。ただし、たけしが引いたくじは元に戻さないこととする。
ここでポイントは
2つの試行が影響しているかどうか
- 試行A: たけしがくじを引く
- 試行B: まゆみがくじを引く
今回は、連続して2つのくじを引く試行です。
たけしがくじを引いて、まゆみもくじを引く。
たけしが当たりを引いたとします。
残る当たりくじの本数は3-1=2本となります。
たけしがハズレくじを引いた場合は、当たりくじはそのまま3本全てゆみに残ります。
つまり、たけしが当たりを引くかによって、
まゆみがあたりを引く確率が変化します。
- たけしが当たると、当たりくじが1本減るのでまゆみが当たりの確率が減る
- たけしがハズレだと、当たりくじはそのままなので、まゆみが当たりの確率が上がる
このように、たけしの試行の結果によってまゆみの当たりくじを引く確率は影響を受けるのでこれらの試行は独立ではありません。
では、この場合はどうでしょうか?
10本くじの中に当たりくじが3本ある。この時、たけしが最初に1枚のくじを引いて確認してからくじを戻す。その後にまゆみも1枚くじを引く。
これは独立です!たけしが当たりを引く確率もまゆみが当たりを引く確率も
同じだからです。
例えば、たけしもまゆみも二人とも当たる確率
全体10本のうち3本が当たりの確率=$\frac{3}{10}$
これはたけしが当たりを引く確率だね。
では、まゆみはどうでしょうか?
たけしがくじを引いた後、全体のくじの数は9本になるけどそれをまた戻すので10本です。
全体10本で3本が当たりの確率= $\frac{3}{10}$
このように2つの試行が独立しているとき、以下の独立試行の確率公式が使えます。
P(A∩B) = P(A) × P(B)
さらなる詳細は、以下の独立試行の確率まとめ記事を参考に!
最後に: 本記事のまとめ
いかがだったでしょうか?
今回は確率分野の中でも特に最頻出の用語12選を紹介しました。
1つ1つの定義や具体例も交えて解説しましたが、受験数学において押さえておけばいいところだけを欲張りました。忘れたら是非何度でもこの記事に戻って確認してください。
これらの用語を1つ1つを説明できるレベルまで持っていきましょう!
記号とか公式も多くて頭パンクします。