こんにちは、文系数学のダイです!


順列問題の求め方のコツと見分け方知りたい!

順列の公式意味不明… 覚えられない!
本記事ではこのような疑問にお答えしていきます!

順列のイメージや公式の証明、覚え方も全て噛み砕いて解説していきます!
目次
順列とは
定義

与えられたものから、一定数を選んで一列に並べること。
順列は、順序をつけて一列に並べること、または並べ方の総数です。

イメージしやすいように具体例で見ていこう!
例えば、クラスの学級委員の決め方。

40人いるクラスから、会長、副会長、書記の3人を選びます。
この時、色んなパターンが考えられますよね。
クラス1頭の良いたけし君が会長になったり、
クラスのマドンナさくらちゃんが副会長、
はたまた、さくらちゃんが書記をやったりと
多くのパターンが考えられそうですよね。
この並び方がいくつあるのか求めるのが順列です。

それなら、普通の場合の数と同じじゃないですか?

いや順列には、順列にしかない特別な条件があるんだ!それが、順番を考慮すること!
順列のイメージ
順列では、必ず並べるものの順番を考慮して一列にします。
例えば、先ほどの学級委員を決める例。
これも順番を考慮してそれぞれの委員を決めます。
最初に会長を決め、次に副会長、その次に書記を決めますよね。

会長→副会長→書記を、1番目→2番目→3番目と順番よく決めていきます。
書記から決めても同じように順序よく決めていきます。
順列のそれぞれの文字にもこのイメージが込められています。
- 順: 順番を考えて、
- 列: 一列に並べる
クラスなどのある複数のもの・人から順番よく1つ選んで、その後にまた1つ選んで一列に並べる
これが順列のイメージです。

2つ以上のものから、1番目、2番目、3番目と順序よく選んで一列に並べる
順列の公式
異なる$n$個のものから、$r$個取り出して一列に並べる並べ方の総数は、
- ${}_n P_r$ = n×(n−1)×(n−2)…
*${}_n P_r$は、エヌ・ピー・アールと読む
*$P$ = 英語のPermutation(配列・順列)の略
公式の覚え方
順列の公式${}_n P_r$ は2つのポイントから成っています。

- $n$ = スタート地点
- $r$ = ルール: 個数を決める

3つのステップで順列公式は簡単に覚えられるよ!
Step1: スタート地点を確認
順列${}_n P_r$ では、まずスタート地点を確認します。
例えば、${}_5 P_3$の場合、5がスタート地点です。
Step2: スタート地点の数字を1ずつ減らす
今度は、確認したスタート地点の数字を1ずつ減らしていきます。
${}_5 P_3$では、5がスタート地点なので、
5 4 3…のように−1していきます。
その時、$r$の部分が3なので、全体の数字が3個になるまで−1をします。

$r$がルールの部分で、全体の数が何個になるまで−1するのか教えてくれます。
Step3: 全てをまとめてかけ算する
あとは、上記のステップで-1したもの3つをかけ算します!

よって、${}_5 P_3$ = 5×4×3 = 60!

かけ算をする理由は、後述しています。そのまま読み進めて下さい!
順列の計算のコツ

公式の使い方をさらに練習していこう!
次の計算をせよ。
- ${}_6 P_2$
- ${}_6 P_1$
- ${}_5P_5$
- ${}_5 P_0$

①${}_6 P_2$
スタート地点は6です。この6を全体の個数が2個になるまで-1してかけ算です!
${}_6 P_2$= 6 × 5 = 30
(解答終了)
②${}_6 P_1$
スタート地点は6です。$r$=1なので、そのまま6になります。

${}_6 P_1$ = 6
(解答終了)
③${}_5P_5$
スタート地点は5。全体の個数が5個になるまで−1してかけ算。
${}_5 P_5$ = 5×4×3×2×1 = 120
(解答終了)
${}_5 P_5$のように、$n$と$r$が同じ数字の状態を階乗といいます。
④${}_5 P_0$
$r$=0の場合の順列は必ず1になります。
${}_5 P_0$ = 1

これは数学ではお約束なので、暗記しておこう!
順列公式のなぜ
順列公式の証明
✔︎公式: ${}_n P_r$ = n×(n−1)×(n−2)…
この公式の特徴は、全体の数$n$から1つずつ数を減らしてかけ算していることです。

具体例を通してなぜそうなるのか見てみよう!
例えば、ある5人の中から3人を選んで一列に並べる順列。
ある5人の名前をA, B, C, D, Eとします。
この並べ方を以下の手順で考えます!
- 最初の1人(1番目)を選ぶ
- 次にもう1人(2番目)を選ぶ
- 最後にもう1人(3番目)を選ぶ
まず、順番よく5人の中から最初の1人を選びます。

ABCDEのどれか1人を無作為に選ぶので、選び方は5通り。
2人目は、1番目に選んだ人以外選べます。

仮に1番目にCを選んだとしたら、残りABDEで4通り。
最後の3人目は、1番目と2番目で選んだ人以外選べます。

2番目にAを選んだとすると、3番目はBDEで3通りです。
これら全ての手順は同時に起こります。
よって、積の法則を使って、
5人から3人の順列= 5×4×3 = 60通りです。

なんで積の法則を順列で使うかは後述しています。そのまま読み進めて下さい!
ここで、大切なのは1人目、2人目、3人目と順番に選ぶ度に、全体の数が減少していることです。
- 5人から1人目を選んで5通り
- 残り4人から2人目を選んで4通り
- 残り3人から3人目を選んで3通り
最初に選ぶ1人目をnとすると、
- 2人目= (5-1) = 4通り
- 3人目= (4-1) = 3通り
これが公式の(n-1)×(n-2)の部分なんです!
${}_n P_r$ = n×(n−1)×(n−2)…
今回の問題は、異なる5人から3人を選ぶ順列なので、
5人を$n$、3人を$r$として公式に代入すると、
${}_5 P_3$ = 5×(5−1)×(5−2)= 5×4×3 = 60通り

${}_n P_r$ = n×(n−1)×(n−2)…を使えば一瞬だね!
例: 5人から3人を選んで一列に並べる
- 5人から最初の1人目を選ぶ
- 残り4人から2人目を選ぶ
- 残り3人から3人目を選ぶ
この3つのステップを1つにまとめると、
✔︎${}_n P_r$ = n×(n−1)×(n−2)… になる!
順列でも積の法則?なんでかけ算?
異なる$n$個のものから、$r$個取り出して一列に並べる並べ方の総数は、
${}_n P_r$ = n×(n−1)×(n−2)…
順列の公式で積の法則(かけ算)を使う理由は、順列が連続して起こっているからです。
- 2つ以上の物事が同時に起きるとき、場合の数がかけ算で求める

もう一度さっきの例題で見ていこう!
✔︎5人の中から3人を選んで一列に並べる。
この順列は以下の3つのステップで解けました。
- 5人から最初の1人目を選ぶ
- 残り4人から2人目を選ぶ
- 残り3人から3人目を選ぶ
順列では、3人を一回でまとめて選びません。
この例のように、1つ1つのステップ(選び方)が連続して起こって3人を選びます。
場合の数・確率では、物事が順序よく連続して起こることを「同時に起きる」として、その場合の数をかけ算で求めます!
順列と組合せの違い

順列と組み合わせの違いは、順番を考慮するかどうかです。
- 順番を考慮する→ 順列
- 順番を考慮しない→ 組合せ

入試問題などではどう区別すればいいの?!
こちらの記事で、順列と組み合わせの違いを徹底解説しました。
順列問題の見分け方

順列問題の見分け方は、順番を考慮するかしないかです。
これは問題文に明確に書いてある場合もあります。
しかし、多くの入試問題では問題文を読んで、自分で判断しなければなりません。
ここでは、順列を扱う入試再頻出の問題例をいくつかあげておきます。
- 整数の並べ替え問題
1~5の5個の数字から異なる3つを選んで3桁の整数を作る時、3桁の整数はいくつできるか。
以下の記事で詳しく解説しています。
- 文字の配列・並べ方
abcde5つのアルファベットを並べてできる文字列の数
- 学級委員などの役割を決める
5人の生徒から、会長、副会長を1人ずつ選ぶ通りの数
- 辞書式の配列問題
本記事で後述しています。

これらの問題を一緒に解いてみよう!
順列の入試定番問題3選
人の並べ方
6人の学生から議長、副議長を1人ずつ選ぶ方法はいくつあるか。

順番よく1人ずつ選ぶので順列です!

異なる6人から議長、副議長の合計2人を選びます。
$n$=6, $r$=2として、公式${}_n P_r$に代入します。
${}_6 P_2$ = 6×5 = 30通り
(解答終了)
文字の配列・並べ方
a, b, c, d, fの5つのアルファベットを並べてできる文字列はいくつあるか。
5つの異なるアルファベットからその全てを選んで並べます。
例えば、acbfdとbacdfは完全に違う文字列です。つまり、同じ文字を使っても順番が違えば違うものです。

順番を考慮しているから順列だ!
5つのアルファベットから5個を順番よく選んで並べるので、${}_5 P_5$。
${}_5 P_5$ = 5×4×3×2×1 = 60通り
(解答終了)
${}_5 P_5$のように、${}_n P_r$の$n$と$r$が同じものを階乗と言います。
辞書式配列
5個の数字1, 2, 3, 4, 5が書かれたカードを並べて5桁の整数を作る。同じカードは使用せず5桁の整数を小さい順に並べるとき、41325は何番目に現れるか。

問題文に「小さい順に並べる」と順番を考慮するキーワードがあります!
本問のように、数字なら小さい順、文字なら若い順(辞書に出てくる順)を考慮して並べる問題を辞書式配列問題と言います。
- 小さい順に並べるので、1番小さい数からさかのぼって数える。
- 最高位の数を1つ固定してそれ以外の並び方を考える。
- それぞれのパターンを和の法則でまとめる。
本問題は、以下のステップで解きます!
- 万の位が1の場合を考える
- 万の位が2の場合を考える
- 万の位が3の場合を考える
- 万の位が4の場合を考える
小さい順から並べていくので、1番目の5桁の整数は12345です。
そこから、12435, 12453と順番よく並べ方が変化していきます。
✔︎万の位が1の場合を考える

小さい順なので、最高位が1の時を考えます。
万の位が1のときの残りの位の並び方は、2,3,4,5の4つから4個選んで並べるので、${}_4 P_4$。
${}_4 P_4$=4×3×2×1=24個。
これで、最高位が1の時の5桁の整数が24個あることが分かりました。
✔︎万の位が2の場合を考える

次は、最高位が2のときです。
残り4つの並び方は、4つの数字から4個選んで並べるので${}_4 P_4$=24。
最高位が2の時も5桁の整数は24個です。
✔︎万の位が3の場合を考える

最高位(万の位)が3の時も、4つの数字を選んで4つを並べるので${}_4 P_4$=24。
✔︎万の位が4の場合を考える

万の位が4の場合を考えます。
小さい順に並べるので、千の位に最初に来るのは1です。ここで、41325が何番目にくるか考えます!
万の位=4, 千の位=1の時、残りの数を小さい順に並べると41235です。つまり、41235が4が最高位のときの最初の5桁の整数です。
そして、41235→41253→41325という順番です。
つまり、41325は最高位が4の時の3番目です。
あとは、求めた全ての数を和の法則で足し算します。
最高位の数が1の時、2の時、3の時、4の時と、場合分けをしたので和の法則です。場合分けをしたら、必ず和の法則で足し算をして場合の数を求めます。
41325は何番目?
= (最高位が)1の時+2の時+3の時+4の時
= 24+24+24+3 = 75番目
(解答終了)
最後に: 順列のまとめ
いかがだったでしょうか?
順列に加えて組合せも理解することで、この2つを区別しましょう!
以下が本記事のまとめです。
- 順列: 順番を考慮して一列に並べる並べ方
- ${}_n P_r$ = n×(n−1)×(n−2)
- ${}_n P_0$ = 1 (数学上の決まり)
- 順列で積の法則を使うのは、順番を決めて選ぶ行為が連続しているから!
- 順列問題の見分け方: 順番を考慮するか否か。
順列($P$)って何?どうやって計算するの?