お疲れっす!文系受験数学のダイです!


$\frac{n!}{p!q!r!}$が覚えられない!なんで階乗で割るの?

問題の解き方やその他の順列との違いを知りたい!
今日はこのような疑問にお答えしていきます!
本記事では、同じものを含む順列を基本的なイメージから公式の証明・応用まで徹底解説しました!

他の順列と比較しながら、同じものを含む順列を解説しています!入試本番に問題をどう解けば良いのかまで分かりますよ!
目次
同じものを含む順列とは
定義

順番を考慮して同じものを一列に並べる並べ方、または並べ方の総数。
イメージは、全く同じクローンのようなものを並べる感じです。
同じものを含む順列では、問題文に同じ文字や数字などがあります。そして、それらを一列に並べるときの並べ方の総数を求めます。
- 4つの文字aaabの並べ方の総数
- 4つの数字1222の並べ方の総数

本当だ!同じ文字aが3つもあります!数字の2も3つある!

そうなんだ!だから、同じもの(物、数字、文字、記号等)の並べ方は、同じものを含む順列として考えよう!
なぜ順列${}_n P_r$が使えない?
同じものを含む順列では、通常の順列公式${}_n P_r$は使えません。
なぜなら、順列${}_n P_r$が並べるものを全てを違うものとして区別しているからです!

順列の公式を少し振り返ってみよう!
異なるn個のものから、r個を取り出して一列に並べるときの順列は、
${}_n P_r$= n ×(n-1)×(n-2)×…

「異なる$n$個のもの」って定義にありますね!

そう!通常の順列では、必ず全て異なるものを並べるという前提条件があるんだ!
- 12345の異なる5個の数字を使ってできる5桁の整数の総数
- 男女計10人を一列に並べる並べ方の総数
これら問題は、異なる数字、男女1人1人が違う人間なので順列${}_n P_r$が使えるんです!

仮に同じ名前・性別の人がいたとしても、クローンでない限りは違う人間として区別するよね!
例えば、3種類のケーキを一列に並べる並べ方。

3種類のケーキから3つを一列に並べるので、${}_3 P_3$=6通り。
しかし、次のような場合は$P$が使えません。


あっ!同じチョコケーキが2つある!
これを3つのケーキとして区別して一列に並べる${}_3 P_3$=6通りとすると間違いです。
下の樹形図を見れば分かるように、実際イチゴとチョコの並べ方は3通りしかないんです!

樹形図: 物事の組み合わせやパターンを視覚化した図。
書き方のコツや出題パターンはこちらから!
同じものを並べる時は、通常の順列$P$は使えません!それは、順列が並べるもの全てが異なるものでなければいけないという前提条件があるから!
例: 3人を一列に並べる=${}_3 P_3$
3人は一人一人違う人と区別して考えている!


同じものを並べるときは順列${}_n P_r$は使えない!だから、同じものを含む順列には特別な公式があるんだ!詳しく解説するよ!
同じものを含む順列の公式

同じものを並べるときは、この専用の最強公式を使おう!
全体$n$個のうち、aが$p$個、bが$q$個、cが$r$個あるとき、これら$n$個全てを1列に並べる総数は、$\frac{n!}{p!q!r!}$通りです。
- 全体の個数: $n$
- それぞれの個数: $p$, $q$, $r$
この公式を簡単に言ってしまえば、
$\frac{全体の個数の階乗}{それぞれの個数分の階乗}$です。
実際に公式を使って先ほどのケーキの並べ方を求めてみましょう!

イチゴが1つ、チョコが2つなので、
- 全体の数$n$ = 1+2 = 3
- $p$ = イチゴの数 = 1
- $q$ = チョコの数 = 2
$\frac{n!}{p!q!}$ = $\frac{3!}{1!2!}$ = $\frac{3×2×1}{1×2×1}$ = 3通り

ちゃんと樹形図のように3通りだね!

$\frac{n!}{p!q!r!}$=$\frac{n: 全体の個数の階乗}{それぞれの個数分の階乗}$
例: 同じ2個のイチゴと同じ2個のみかんを一列に並べる
- 全体の個数$n$ = イチゴ+みかん=4個
- イチゴ$p$ = 2個
- みかん$q$ = 2個
公式に代入して、$\frac{n!: 全体の個数}{イチゴの個数・みかんの個数}$
$\frac{n!}{p!q!}$=$\frac{4!}{2!2!}$=$\frac{4×3×2×1}{2×1×2×1}$ = 6通り
公式の証明: なぜ階乗($!$)で割る?

全体の個数$n$の階乗をそれぞれの階乗($!$)で割る理由。
それは、同じもののを一度区別するからです!
例えば、先ほどの2種類のケーキの並び方。

同じチョコが2つあるので${}_n P_r$は使えなかったね!

それでは、2つの同じチョコを番号をつけて区別します。


同じチョコを2つに区別したので、ここには3種類のケーキがあると考えよう!
3つのケーキを一列に並べる並べ方は、
3つのケーキから3つ全てを並べるので${}_3 P_3$ もしくは階乗を使って $3!$で6通りあります。
階乗: あるもの全てを取って並べる欲張りな順列。
同じチョコを2つに区別しているので、
- イチゴーチョコ1ーチョコ2
- イチゴーチョコ2ーチョコ1
これらは全く違う並べ方です!
そのため全部で6通りあります!


それでは、チョコにつけた番号をとって区別をなくしてみよう!

すると、同じ並び方が重複して数えられているのが分かります。ここでは、見やすいように色をつけます!

ここで被って色同士を取り除きます。

すると、残るのは3つだけなので、
同じものを含む順列は3通りとなります!
この被っているものを取り除くプロセスが、階乗で割るにあたります!

この階乗で割るプロセスを実際に計算してみると分かりやすいよ!

区別したチョコの並び方は、2つ全てを一列に並べるので、階乗を使って$2!$。
区別した並べ方$3!$をこの$2!$で割ると、
= $\frac{3!}{2!}$ = $\frac{3×2×1}{2×1}$ = 3通り!


ちゃんとこの樹形図のように3通りになりましたね!
以下の2つのステップで、同じものの並べ方を考えるため!
- 同じものを区別して数える
- その後でその区別をなくす。重複して数えている分を取り除く!

組み合わせ$C$でも同じものを含む順列は解ける?

実は、同じものを含む順列と組み合わせには共通点があります。
それは、両者ともに順列${}_n P_r$を階乗で割るという点です。

ここで理解できなくても大丈夫!具体例を交えて見ていこう!
- 物・事・人の選び方
- 異なる$n$個のものから$r$個を選ぶ時の選び方は${}_n C_r$
- ${}_n C_r$=$\frac{{}_n P_r}{r!}$
- ${}_n C_r$は、エヌ・シー・アールと読む
- $C$は、英語のCombination(組合せ)の略
組み合わせの公式${}_n C_r$=$\frac{{}_n P_r}{r!}$では、
順列${}_n P_r$の部分を階乗r!で割っています。
これは、組合せも同じものを含む順列同様に、
- 同じものを区別して数えて
- その後でその区別をなくす。重複して数えている分を取り除く!
この2つのプロセスで公式ができているため!
公式の仕組みが同じなので、同じものを含む順列の問題は組み合わせを使って解けます。
例えば、先ほどの3つのケーキを一列に並べる問題。


これを組み合わせ$C$を使って解いてみよう!
✔︎3つの場所にケーキを置くイメージ
組み合わせは、ある場所に選んだものを1種類ずつ置くイメージです。

その置き方を$C$を使って決めます。
まず、2つのチョコケーキの場所を決めます。

チョコは2つあるので、3つの場所から2つ必要なので${}_3 C_2$。
最後に、残った1つの場所にイチゴを置きます。

残った場所は一つしかないので、${}_1 C_1$=1通り。
あとは、積の法則でまとめて、
${}_3 C_2$×${}_1 C_1$=$\frac{{}_3 P_2}{2!}$ ×1 = $\frac{3×2×1}{2×1}$=3通り!

${}_1 C_1$=1なので、そのまま${}_3 C_2$で3通りとしてもOK!
重複順列との違い・見分け方

同じものを含む順列と重複順列を混乱する受験生が多いんだ!でも、この2つは決定的に違うことをここで押さえておこう!
同じものを繰り返し使って一列に並べる順列。
重複順列は同じものを含む順列と違って、並べるものが同じではありません。
異なるものを複数回使って一列に並べる順列です。

問題文での主題パターンを比べるとその違いがすぐに分かります!


重複順列では、異なるものを複数回使用できる条件のもとで一列に並べます。12345と全て異なる数字を使っていますよね!
そのため、問題文には「繰り返し使用可」を意味する条件が提示されます!

「同じ数字は何度使っていい」とありますね!
しかし、同じものを含む順列では並べるものが同じものです!

重複順列での数字12345とは違って、12244と2と4が2回ずつ出てきていますよね!
- 重複順列: 異なるもの(例:12345)を複数回使って並べる。
- 同じものを含む順列: 同じもの(例:12244)を並べる。
重複順列はこちらの記事から!
大学入試頻出のその他順列一覧
受験数学には、同じものを含む順列の他に6つの種類の順列があります。
順番を考慮して一列に並べるという点は共通していますが、それぞれ違った特徴・公式があります。

それぞれの関連記事も読んで受験に出る全ての順列を理解しよう!
✔︎大学入試必須の順列一覧
- 重複順列: 異なるものを繰り返し使って並べる順列
- 条件付き順列・一定の条件で並べる順列
ある一定の条件の下で一列に並べる順列
- 隣り合う・隣り合わない順列
ある特定のもの同士が「隣り合う」「隣り合わない」条件の下で並べる順列
- 円順列
異なるもの・人を円形に並べたもの。
- じゅず順列
円順列の内、反転して一致するもの。
- 条件付き・同じものを含むじゅず順列
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入試の主題パターン

同じものを含む順列は、入試ではどのように出題されるんですか?
同じものを含む順列では、主に3つの出題パターンがあります。

後述の厳選問題3選で全て詳しく解説しています!そのまま読み進めてください!

最後に、同じものを含む順列の演習問題だ!
同じものを含む順列: 3つの厳選問題
同じ文字の並べ方
- aabbbccの7つの文字を一列に並べるときの並べ方はいくつあるか。
- 英単語GOODを一列に並べるとき、並べ方の場合の数を求めよ。

同じ文字を並べる問題なので、公式$\frac{n!}{p!q!r!}$の出番だね!
①aabbbccの7つの文字を一列に並べる
- 全体の個数$n$ = 7個
- aの個数$p$ = 2個
- bの個数$q$ = 3個
- cの個数$r$ = 2個
これらを公式$\frac{n!}{p!q!r!}$に代入して、
$\frac{7!}{2!3!2!}$ = $\frac{7×6×5×4×3×2×1}{2×1×3×2×1×2×1}$=210通り
(解答終了)
②英単語GOODを一列に並べる
- 全体の個数$n$ = 4個
- Gの数$p$ = 1個
- Oの数$q$ = 2個
- Dの数$r$ = 1個
これらを公式$\frac{n!}{p!q!r!}$に代入して、
$\frac{4!}{1!2!1!}$ = $\frac{4×3×2×1}{1×2×1×1}$=12通り
(解答終了)

同じものの最強公式$\frac{n!}{p!q!r!}$で楽勝だね!
同じ数字を並べる整数

- 上の5つの数字を使ってできる5桁の整数はいくつあるか。
- (難)上の5つの数字から3つを取り出すとき3桁の整数はいくつできるか。
①5桁の整数

同じ数字があるのでこれも公式$\frac{n!}{p!q!r!}$で解きます!
- 全体の個数$n$ = 5個
- 1の個数$p$ = 1個
- 2の個数$q$ = 2個
- 3の個数$r$ = 2個
これらを公式$\frac{n!}{p!q!r!}$に代入して、
$\frac{5!}{1!2!2!}$ = $\frac{5×4×3×2×1}{1×2×1×2×1}$=30通り
(解答終了)

②難問: 上の5つの数字のうち、3つを使ってできる3桁の整数の総数

与えられた数字全てを使う場合は、公式は使えるけど、ある一定数しか使わない場合は場合分けしよう!
- 一度にまとめて計算できない時、2つ以上のパターンに分けて考えること。場合分けをした時の場合の数は足し算!
場合分けに関しては、和の法則の記事でも確認できます!

まず、12233の5個の数字からできる3桁の整数のパターンを考えてみよう!

ある一つの文字に注目して考えてみよう!ここでは、数字2に注目します!
✔︎3桁の整数に2が2つ入る場合の並べ方
① 122
② 223
✔︎3桁の整数に2が1つ入る場合の並べ方
③ 123
④ 233
✔︎3桁の整数に2が一つもない場合の並べ方
⑤ 133

5つの数字からできる3桁の整数は5つのパターンあることが分かったね!あとは、それぞれのパターンを公式を使って計算して和の法則でまとめよう!
✔︎3桁の整数に2が2つ入る場合の並べ方
① 122
全部で3個の数字、1が1つ、2が2つなので
$\frac{3!}{1!2!}$ = $\frac{3×2×1}{1×2×1}$ = 3通り!
② 223
全部で3個の数字、2が2つ、3が1つなので
$\frac{3!}{2!1!}$ = $\frac{3×2×1}{2×1×1}$ = 3通り!
✔︎3桁の整数に2が1つ入る場合の並べ方
③ 123
全ての数字が1つずつなので、$3!$ = 6通り!
④ 233
全部で3個の数字、2が1つ、3が2つなので
$\frac{3!}{1!2!}$ = $\frac{3×2×1}{1×2×1}$ = 3通り!
✔︎3桁の整数に2が一つもない場合の並べ方
⑤ 133
全部で3個の数字、1が1つ、3が2つなので
$\frac{3!}{1!2!}$ = $\frac{3×2×1}{1×2×1}$ = 3通り!
最後に求めた全ての値を和の法則で、
3桁の整数の総数=①+②+③+④+⑤
=3通り+3通り+6通り+3通り+3通り
= 18通り!
(解答終了)
最短経路・距離の問題

上の図のような道でAからBまで行くとき、点Sを通る最短経路はいくつあるか。

最短経路の問題も同じ方向での移動が発生するので、同じものを含む順列で解きます!
点Sを通って点Bまで行きます。
このように中継地点がある場合は、
- スタート地点Aから中継地点S
- 中継地点Sから目的地B
のように2つに分けて考えます。
✔︎地点Aから中継地点Sまでの移動

点Aから点Sまでは、上1回と横4回の最低5回の移動が必要です。
- 全体の移動数$n$ = 5回
- 上の動き$p$ = 1回
- 横の動き$q$ = 4回
これらを公式$\frac{n!}{p!q!r!}$に代入して、
$\frac{5!}{1!4!}$ = $\frac{5×4×3×2×1}{4×3×2×1}$=5通り
✔︎中継地点Sから目的地点Bまでの移動

点Sから点Bまでは、上2回、横3回の合計5回の移動が必要です。
- 全体の移動数$n$ = 5回
- 上の動き$p$ = 2回
- 横の動き$q$ = 3回
これらを公式$\frac{n!}{p!q!r!}$に代入して、
$\frac{5!}{2!3!}$ = $\frac{5×4×3×2×1}{2×1×3×2×1}$=10通り
求めた全ての値を積の法則でまとめて、
最短距離=点AからSの通り×点SからBの通り
= 5通り×10通り = 50通り
(解答終了)
[/aside]組み合わせを使っても最短経路の問題は解けます!こちらの記事でご確認ください!
最後に: 同じものを含む順列まとめ
いかがだったでしょうか?
重複順列の記事も読んで、同じものを含む順列との違いを理解しましょう!
また、前述した大学入試に出る他の順列もそれぞれの関連記事で確認することで、受験に出る全ての順列を網羅できます!
以下が本日のまとめです。
- 同じもの、数字、文字を並べるときは${}_n P_r$は使えない
- 順列${}_n P_r$は並べるもの全てが異なる場合にのみ使える!
- 同じものを含む順列は、$\frac{n!}{p!q!r!}$で求める!
- $\frac{n!}{p!q!r!}$ = $\frac{全体の個数の階乗}{それぞれの個数の階乗}$
- 階乗で割る理由は、一度同じものを違うものとして区別するから!
- 重複順列: 異なるものを複数回使って一列に並べる!
- 同じものを含む順列では、同じ文字や数字の並べ替えや最短距離の問題が典型。
同じものを含む順列って何?イメージができない…