どうも!文系数学コーチのダイです!


組分けは、なんで階乗で割るの?重複順列との違いは何?
今日はこのような疑問にお答えしていきます!
入試に出る組分けは、主に2パターンです!

本記事で紹介するパターン別の解き方を覚えれば、組分けは簡単に解けるよ!
目次
組分けとは?
定義とイメージ

ある$n$個のものを何組みかのグループに分ける分け方、または分け方の総数。
例えば、運動会の赤・白組のチーム分け。

男女40人のチームを赤組と白組の2チームに分ける分け方を組分けを使って求められるんだ!

組分けは、組み合わせを使って求めます。
- 物事の選び方のこと。
異なるn個からr個を選ぶ方法の総数${}_n C_r$
- 公式: ${}_n C_r$ = $\frac{{}_n P_r}{r!}$
- ${}_n C_r$は、エヌ・シー・アールと読む。
- $C$は、英語のCombinationの略。
なぜ組み合わせの公式を使う?
組分けは、ただ選ぶだけで順番を考慮しないから!
*順番を考慮する並び方は、順列です。

下の例題で詳しく見ていこう!

6人の園児を赤組、白組の各組に3人ずつ分ける方法はいくつあるか。
6人の園児に、A, B, C, D, E, Fの名前をつけます。
仮に、赤組にA,B,Cの3人を選んだとして
- 赤組: (A, B, C)
- 赤組: (B, C, A)
これら2つの選び方に違いはあるでしょうか?

同じ3人の園児A,B,Cを選んでいるだけなので、(A, B, C)も(B, C, A)も同じですね!

組分けは、順番も考慮しないし、一列に並べることもない!だから、組み合わせCを使うんだ!
順番を考慮する順列と組み合わせの違いはこちらを参考に!
組分けの求め方

じゃあ、実際に例題を組み合わせCを使って解こう!
✔︎6人を赤・白組に3人ずつ分ける方法
- 6人中3人を先に赤組に分ける。
- 残った3人を白組に分ける。

ABCDEFの6人から3人を選ぶので、
赤組に選び方=${}_6 C_3$通り。

残った3人を白組に分けるので、
白組の分け方=${}_3 C_3$通り。

最後に、求めた全ての値をかけ算でまとめよう!
赤白の2組に分ける=赤組の分け方と白組の分け方の2つが同時に起こるため、積の法則!
求めた全ての値を積の法則で、
赤白の2組に3人ずつ分ける方法は、
=赤組の分け方×白組の分け方
=${}_6 C_3$×${}_3 C_3$=$\frac{{}_6 P_3}{3!}$×$\frac{{}_3 P_3}{3!}$=$\frac{6×5×4}{3×2}$×$\frac{3×2}{3×2}$
=20通り
(解答終了)
- 組み合わせ公式: ${}_n C_r$ = $\frac{{}_n P_r}{r!}$
詳しいCの計算方法やコツはこちらから!
組分け: 入試出題2パターンと解き方
- 区別がある: A, B, Cなど分ける組に名前がある。また、分ける人数が異なる。
- 区別がない: 分ける人数が同じかつ組に名前がない。
組分けは、区別があるか否かによって解き方が変わってきます。

本記事で推奨するそれぞれのパターンにあった解き方を押さえよう!
区別ありパターン
4人(A,B,C,D)を次のように分ける方法はいくつあるか。
- 4人を2人ずつA,Bの2組に分ける。
上の例題のように、分ける組に名前(A,Bの2組)がある場合を、区別ありと言います。
「区別あり」の問題は、シンプルに組み合わせCを使って簡単に解けます。
- 公式: ${}_n C_r$ = $\frac{{}_n P_r}{r!}$
4人をA,Bの2組に分けるので、
- 4人のうち2人をA組に選ぶ
- 残った2人をB組に選ぶ
この2ステップで解けます。
- 4人から2人をA組=${}_4 C_2$
- 残った2人をB組=${}_2 C_2$
求めた値を積の法則でまとめます。
4人をA,Bの2組に分ける方法は、
=4人の内2人をA組×残った2人をB組
=${}_4 C_2$×${}_2 C_2$=$\frac{{}_4 P_2}{2!}$×$\frac{{}_2 P_2}{2!}$
=$\frac{4×3}{2}$×$\frac{2}{2}$=6通り
(解答終了)

- 区別あり=分ける組に名前がある、もしくは分ける人数が異なる。
*組み合わせCを使って解ける!
区別なしパターン
4人(A,B,C,D)を次のように分ける方法はいくつあるか。
- 4人を2人ずつの2組に分ける。

先程の問題と違って、分ける組に名前がないです。さらに、分ける人数が同じ。

この2つの条件が揃った時は、「区別なし」パターンだ!
分ける組に名前がある場合は、区別できます。
例: A,B,C,Dの4人を赤白の2組に分ける。

- 赤組:(A,B)ー白組:(C,D)
- 赤組:(C,D)ー白組:(A,B)
分ける組に名前があるので、(A,B)の順番が変わると所属する組が変化します。
では、以下の場合はどうでしょう。

- (A,B)-(C,D)
- (C,D)-(A,B)
分ける組に名前がないので区別できない。
つまり、①も②も同じ分け方とみなします。
組に名前がなく分ける人数が等しい時に見分けが付かなくなる!

区別なしパターンは、下の2ステップで解こう!
- 区別ありとして組み合わせCで場合の数を求める。
- 区別をなくすために、求めた場合の数を分ける組数の階乗で割る。
✔︎ステップ1: 区別ありとして計算
A,B,C,Dの4人を2人ずつ2組に分ける。

区別なし問題ですが、ここでは区別あるものとしてまず計算しよう!
仮に分ける2組をA組、B組とします。
- 4人から2人をA組=${}_4 C_2$
- 残った2人をB組=${}_2 C_2$
4人をA,Bの2組に分ける方法は、
=4人の内2人をA組×残った2人をB組
=${}_4 C_2$×${}_2 C_2$=$\frac{{}_4 P_2}{2!}$×$\frac{{}_2 P_2}{2!}$
=$\frac{4×3}{2}$×$\frac{2}{2}$=6通り


先ほど解いた区別ありパターンの問題と同じですね!
✔︎ステップ2: 分ける組数の階乗で割る

区別ありとして計算したものを、ここでは「区別なし」に戻します!

その方法は、分ける組数の階乗で割る!
4人を区別の付かない2組に分けるので、
- 分ける組数の階乗=$2!$
求めた場合の数を$2!$で割ると、
区別なし=$\frac{区別ありパターン}{分ける組数の階乗}$=$\frac{6通り}{2!}$=3通り
(解答終了)
なぜ階乗で割るのか

それは、重複して数えているものを階乗で割ることで取り除けるから!
区別ありとして4人の分け方を考えると6通り。

ここで、分ける組の名前を消して区別なしパターンにします。

すると、同じ色同士(赤青黄)のペアが重複しているのが分かります。

組に区別がないと、(A,B)-(C,D)と(C,D)-(A,B)の見分けが付かない!

そうなんだ!じゃあ、同じ色同士の重複ペアは同じなので、2つで1セットとして数える。
- (A,B)-(C,D)と(C,D)-(A,B)は2つで1つ!
- (A,C)-(B,D)と(B,D)-(A,C)は2つで1つ!
- (A,D)-(B,C)と(B,C)-(A,D)は2つで1つ!
すると、残るのは、3通り。

先ほどの分ける組数の階乗で割った答えと同じです。
$\frac{区別ありパターン}{分ける組数の階乗}$=$\frac{6通り}{2!}$=3通り
区別のできない組分けは、
- 区別あるものとして計算して、
- 分ける組数の階乗で割る!
区別あり→区別なしに戻すと、重複して数えた部分が出てくる。そのため、分ける組数の階乗で割るって重複分を取り除く!
重複順列との違い
- 同じものを繰り返し使って並べる順列。
- $n$通りの選択肢を$r$回繰り返す重複順列は$n^{r}$
- 英語: Repeated permutation
- 組分け: 選び方に偏りがない。基本的に全ての組に一定数配置する。
- 重複順列: 選び方に偏りがある。誰もいない組があってもいい場合あり。
こちらの記事で、両者の違いを徹底解説しています!
組分けの入試問題3選
組分けの入試問題にチャレンジだ!

「区別あり・なし」どちらかを考えて、それぞれに合った解き方で攻略しよう!
部屋割りの問題
- 6人をA,B,Cの3つの部屋に2人ずつ分ける方法はいくつあるか。
- 6人を2人ずつ3つの組に分ける方法はいくつあるか。
①6人を2人ずつA,B,Cの部屋に分ける

分ける組にA,B,Cと名前がついているので、区別ありパターンですね!

6人を2人ずつ分けるので、
- 6人から2人を部屋Aに選ぶ。
- 残った4人から2人を部屋Bに選ぶ。
- 残った2人から2人を部屋Cに選ぶ。

これらを積の法則で掛け合わせて、
${}_6 C_2$×${}_4 C_2$=$\frac{{}_6 P_2}{2!}$×$\frac{{}_4 P_2}{2!}$=$\frac{6×5}{2}$×$\frac{4×3}{2}$=90通り
(解答終了)
${}_2 C_2$=1なので、書かなくてもいい!
②6人を2人ずつ3組に分ける

分ける組に名前がなく、分ける人数も同じなので、「区別なし」問題です。
区別のできない組分けは、
- 区別あるものとして計算して、
- 分ける組数の階乗で割る!
②を区別ありとして計算したものが①です。
${}_6 C_2$×${}_4 C_2$=$\frac{{}_6 P_2}{2!}$×$\frac{{}_4 P_2}{2!}$=$\frac{6×5}{2}$×$\frac{4×3}{2}$=90通り
この90通りを、分ける組数の階乗=$3!$で割ります。
区別なし=$\frac{区別ありパターン}{3!}$=$\frac{90}{3×2}$=15通り
(解答終了)
人数の組分け
- 7人を1人、2人、4人に分ける方法はいくつあるか。
- 8人を2人ずつ4つの組に分ける方法はいくつあるか。
- 8人を2人、2人、4人に分ける方法はいくつあるか。
①7人を1人、2人、4人に分ける

分ける組に名前はないですが、分ける人数が異なるので「区別あり」です!
A, B, Cなど分ける組に名前がある。また、分ける人数が異なる。
7人の分け方は、
- 7人から1人を選ぶ=${}_7 C_1$
- 残った6人から2人を選ぶ=${}_6 C_2$
- 残った4人から4人を選ぶ=${}_4 C_4$
これらを積の法則で掛け合わせて、
${}_7 C_1$×${}_6 C_2$=$\frac{{}_7 P_1}{1}$×$\frac{{}_6 P_2}{2!}$=7×$\frac{6×5}{2}$=105通り
(解答終了)
${}_4 C_4$=1なので省略します!
②8人を2人ずつ4つの組に分ける

分ける組に名前がなく、分ける人数も等しいので「区別なし」だ!
8人を2人ずつ4組に分ける方法は、
- 8人から2人を選ぶ=${}_8 C_2$
- 残った6人から2人を選ぶ=${}_6 C_2$
- 残った4人から2人を選ぶ=${}_4 C_2$
- 残った2人から2人を選ぶ=${}_2 C_2$
*${}_2 C_2$=1は、計算で省略します。
これらを積の法則で掛け合わせて、
${}_8 C_2$×${}_6 C_2$×${}_4 C_2$=$\frac{{}_8 P_2}{2!}$×$\frac{{}_6 P_2}{2!}$×$\frac{{}_4 P_2}{2!}$=4320通り
分ける組数の階乗$4!$で割って、区別あり→区別なしにします。
区別なし=$\frac{区別あり}{分ける組数の階乗}$=$\frac{4320}{4!}$
=$\frac{4320}{4×3×2}$=180通り
(解答終了)
③8人を2人、2人、4人に分ける

分ける組に名前なし+分ける2組が(2人、2人)同じ人数で分けるので「区別なし」として解こう!
8人を分ける方法は、
- 8人から2人を選ぶ=${}_8 C_2$
- 残った6人から2人を選ぶ=${}_6 C_2$
- 残った4人から4人を選ぶ=${}_4 C_4$
*${}_4 C_4$=1は、計算で省略。
これらを積の法則で掛け合わせて、
${}_8 C_2$×${}_6 C_2$=$\frac{{}_8 P_2}{2!}$×$\frac{{}_6 P_2}{2!}$=$\frac{8×7}{2}$×$\frac{6×5}{2}$=420通り
2組を同じ人数で分けるので、$2!$で割って、区別あり→区別なしにします。
区別なし=$\frac{区別あり}{分ける組数の階乗}$=$\frac{420}{2!}$=$\frac{4320}{2}$=210通り
(解答終了)
応用: 男女の組分け

男子7人、女子2人の計9人を3人ずつ3組に分ける方法はいくつあるか。ただし、どの組にも必ず男子がいるものとする。

分ける組に名前がなく、3人ずつと分ける人数も平等!「区別なし」問題です!
問題文には、どの組にも必ず男子がいるように分けると条件があります。

つまり、どの組にも少なくとも男子が1人いればOKってことだね!
男子がどの組にも1人以上いる3組の分け方は、以下の1通りだけです。
- (男, 男, 男),(男, 男, 女),(男, 男, 女)
区別ありとして9人を分けると、
- 男3人の組=7人の男子から3人を選ぶ
- 男2人,女1人の組=残った男子4人から2人+女子2人から1人
- 男2人,女1人の組=残った男子2人から2人+女子1人から1人

*${}_2 C_2$=1と${}_1 C_1$=1は省略。
「区別あり」9人の分け方は、
${}_7 C_3$×${}_4 C_2$×${}_2 C_1$=$\frac{{}_7 P_3}{3!}$×$\frac{{}_4 P_2}{2!}$$\frac{{}_2 P_1}{1!}$
=$\frac{7×6×5}{3×2}$×$\frac{4×3}{2}$×$\frac{2}{1}$=420通り
②男2人,女1人の組
③男2人,女1人の組
上の2つが区別の付かない組なので、求めた場合の数を$2!$で割ります。
区別なし=$\frac{区別あり}{区別の付かない組の数}$=$\frac{420}{2!}$=210通り
(解答終了)
最後に: 組分けまとめ
いかがだったでしょうか?
本日のまとめはこちらです。
- 組分け: ある$n$個のものを何組みかのグループに分ける分け方、または分け方の総数。
- 組み合わせCの公式${}_n C_r$=$\frac{{}_n P_r}{r!}$を使って求める!
- 順番を考慮せずただ選ぶだけなので、組分けはCで解く!
- 組分けの2つの出題パターン
- 区別あり: 分ける組に名前がある。または、分ける人数が異なる。
- 区別なし: 分ける組に名前がなくて分ける人数が平等。
- それぞれのパターンの解き方
- 区別あり: そのまま組み合わせCで解く!
- 区別なし: 区別ありとして計算し、区別の付かない組の数の階乗で割る!
- 階乗で割る理由: 区別あり→区別なしに戻す際に、重複して数えている分を取り除くため!
さらにこちらの記事では、入試に出る「場合の数」の全項目の解き方や公式を完全公開しています!

これで君も、場合の数マスターだね!

組分けって何?どうやって解くの?