こんにちは、受験数学のダイです。
教科書、参考書などで確率を勉強しようとした時一番最初に出てくるポイントが「同様に確からしい」です。
「同様に確からしい」ってなんか日本語もやたらと見慣れないし、なかなか1回ですっと理解できるのって難しくないですか?
「同様に確からしい」って何をどこまで、知っておけばいいのかよくわからない。
このような悩みがあると思います。それもそのはずです。教科書などでは、やたらと難しい言葉で説明されています。さらに、事象、試行、根元事象など別の確率用語などと混ぜられて説明されている場合が多く、なかなか同様に確からしい自体を理解するのは難しいと思います。
そこで、本記事では同様に確からしいについて、
- 同様に確からしいとはなんぞや?
- 知っておくべきポイントや実際の問題でどう使うか
という点で紹介していきます!実は、同様に確からしいの考え方ってめっちゃシンプルで、押さえておくべくポイントって2つしかないんです!それは、
- 物事が起こる確率が等しい
- 直感的に同じものでも区別する
本サイトでは、この同様に確からしいの2つのポイントを身近な例や実際の入試典型問題を使って解説していますので、問題で同様に確からしいをどう攻略していくかが理解できるようになります!
目次
同様に確からしいの一般的な定義
まず、「同様に確からしい」を勉強したときこんな説明文をよく見かけるよね。
ある試行において,根元事象のどれが起こることも同じ程度に期待できるとき,これらの根元事象は同様に確からしい
ううん…. 試行…? 根元事象…? 難しい日本語がいっぱい(笑)

試行は、「2個のサイコロを同時に振る」みたいにある条件下で繰り返しできる実験や観察のことで、
根元事象は、その試行(=実験)をして出た全部の結果のうち、その1つ1つの結果を個別にフォーカスしたもの。
もっと詳しく知りたい人はこっちでも確認してみてね!
確率基本用語シリーズ〜知ってないと損する即効性のある受験頻出用語とは〜
「同様に確からしい」を理解するときは2つのポイントだけ押さえておけば大丈夫です。
- それぞれの物事が起こる確率が等しい
- 一見直感的には同じに見えるものでも、確率では違うものとして区別する
それでは、それぞれを詳しく解説していきます!
同様に確からしいを典型問題で解説
ポイント1 それぞれの物事が起こる確率が等しい
1つサイコロの振った時、それぞれの出目が出る確率を求めよ。
基本的に、サイコロには1から6までの出目があるので、全体(すべての場合の数)としては6通りあるというのは場合の数でもお話しました。

場合の数とは?事象の数の数え方(仮)
そして、それぞれの出目(特定の物事が起こる場合の数)が出る通りは、
1の目が出る=1通り
2の目が出る=1通り
3の目が出る=1通り
4の目が出る=1通り
5の目が出る=1通り
6の目が出る=1通り なので
確率は、
確率の計算公式
$\frac{ある特定の物事だけが起こる場合の数}{起こる可能性のあるすべての場合の数}$
=$\frac{それぞれの出目の場合の数}{サイコロ全体におけるすべての場合の数}$=$\frac{1}{6}$
内部リンク【まとめ】確率基礎
ここで注目すべきなのは、それぞれの出目が出る通り=1通りとすべて同じで、
1〜6のどの目が出る可能性・頻度は$\frac{1}{6}$で等しくなっていることが分かります。
これを数学的にいうと、同様に確からしいと言うのです!
さらに身近な例で言うと、コイントスの表と裏が出る確率も同じ原理です。

上のコインには、表もしくは裏の全体で2通りしかないですよね。
それぞれの場合、つまり表が出る場合もしくは裏が出る場合は互いに1通りずつしかありません。
なので、表が出る場合と裏が出る場合の頻度は
全体(全事象)は、コインの表と裏の2通りに対して
それぞれの事象(根元事象)は、コインの表もしくは裏のそれぞれ1通りなので
確率=$\frac{1}{2}$
になります。
これらの起こる確率は同等であると分かります。
これを数学的に言い換えると、
コインを投げるという事象において、
表が出る場合と裏が出る場合の確率は同じく$\frac{1}{2}$なので
同様に確からしい(=)等確率と言えるのです。
確率においては、同様に確からしいというコンセプトがあるので、
私たちは確率を計算で求めることができます。
ポイント2 一見直感的には同じに見えるものでも、確率では区別する
「それぞれの物事が起こる確率が等しい」という原理に加えて
同様に確からしいにおける2つ目のポイント!それはズバリ…..
一見同じものに見えても、確率を考えるときは違うものとして区別せよ!
これは受験などでもすぐに使えるテクニックの1つなので、場合の数と確率の根本的な違いを理解するためにも最重要なので具体例を紹介しながら解説していくよ。
袋の中に5個の赤玉と3個の白玉が入っている。その袋から3個の玉を同時に取り出すとき、
(1) 球の取り出し方は何通りあるか。
(2) 赤玉が2個で白玉が1個になる確率を求めよ。

(1)は、場合の数に関する問題です。
つまり、袋から3個取り出すときの出る球の全てのパターンを数えます。
(赤玉の個数、白玉の個数)とすると、
(3、0)、(2、1)、(1、2)、(0、3)の4通り。
1つの袋から同時に3個の玉を取り出すので、赤玉の個数+白玉の個数=常に3個となる
ここまでは、これまでやってきた場合の数の知識で問題なく解けるね。
しかし、ここでやっかいなのが確率です。
(2) 赤玉が2個で白玉が1個になる確率
例えば、(1)の場合の数で求めた全体4通りを使って、
赤玉2個で、白玉1個の通りは(2、1)の1通りしかないから、
確率=$\frac{赤玉2個で、白玉1個}{全体の起こりうる場合の数}$=$\frac{1}{4}$
楽勝〜!とした人はちょっと待って!!
これは、「同様に確からしい」のコンセプトが理解できてない人が陥りやすいもっとも典型的なパターンです。
それでは、ステップに分けてそれぞれ詳しくみていくよ!
ステップ1:同じものを区別する
ある物事の確率を考える場合は、同じものを1つ1つ区別する
つまり、この場合
同じものを1つ1つ区別する = 同じ赤玉全てを違うものとして区別する
同じものを1つ1つ区別する = 同じ白玉全てを違うものとして区別する
ここでは具体的に、赤玉、白玉1つ1つに番号を振って区別していこう!

今回は番号を振ることで、同じ赤玉同士でも白玉同士でも区別しましたが、アルファベット(a, b, c..)を使って区別してもオッケーです。
確率では、この「同様に確からしい」という考え方があるので、場合の数とは物の数え方が大きく異なってくるんです。
知っておかないとやばい場合の数と確率の根本的な違い
ステップ2:区別をしたものを元に、全事象の場合の数を求める
それでは、「同様に確からしい」のコンセプトに沿って、全ての球の取り出し方を考えてみよう。
袋には、全部で赤玉5個と3個の白玉が入っている。
よって、袋の中には合計で、8個の玉が入っていることが分かります。
全体の8個の玉から、3個を同時に取り出すので,
8C3 = $\frac{8 × 7 ×6 }{3 × 2}$=56通り
組み合わせ〜C (コンビネーション)の考え方とその計算テクニック〜
これで、全事象つまり今回の8個の玉のある袋から同時に玉を3個取るという試行をすると、
全体として56パターンあることが分かります。
ステップ3:ある特定の事象の場合の数を求める
そして、次は全体56通りの中でも
赤玉が2個で白玉が1個になる確率を求めていこう。
同時に3個の玉を取る試行で、取る玉の組み合わせが赤玉2個、白玉1個となる
つまり、
赤玉全体5個の中から2個取る組み合わせ
白玉全体3個の中から1個取る組み合わせを求めればいいんだ。
これを組み合わせを使うと、
赤玉全体5個の中から2個 = 5C2
白玉全体3個の中から1個 = 3C1
5C2 × 3C1 = $\frac{5×4}{2}$ × $\frac{3}{1}$ = 30通り
ステップ4:確率の公式に、それぞれのステップで求めた数値を代入
ステップ2で、全事象の場合の数は、56通り
ステップ3で、赤玉2個、白玉1個となる場合の数は、30通りと分かったので
これらを確率の公式に当てはめていきます。
確率=$\frac{赤玉2個、白玉1個}{全体の場合の数}$=$\frac{30}{56}$
=$\frac{15}{28}$
「同様に確からしい」の考えがあるおかげで、たとえ同じものでも区別して考えて
確率計算ができるようになっているんだ。
よく「同様に確からしい」の典型問題で、大、小2つのサイコロを投げたらなんて問題もよくあるけど、あれは実は出題者から、2つのサイコロを別物と区別して考えてください!っていうメッセージなんだよね。
同様に確からくないってことになると、計算がかなり複雑になったり、イメージが湧きにくいからね。
身近にあるものも同様に確からしいで説明できる?
実は私たちは意識せずともこの「同様に確からしい」の考えを理解せずとも使っています。
例えば、あなたが嵐のファンで、嵐のコンサートチケットをどうしても購入したい。
(写真)
しかし、たとえファンクラブに入ったとしても、チケット数には限りがあって入手は困難。
抽選でくじをひきます。合計1000本あるクジの中で当たりはたったの10本だけ。
つまり、990本はハズレです。
この場合の確率は、$\frac{当たりの場合}{クジの全体数}$なので
確率=$\frac{10}{1000}$=$\frac{1}{100}$とは簡単に分かると思います。
しかし、このクジを「当たり」「ハズレ」の2つの根元事象しかないから当たる確率、当たらない確率はそれぞれ$\frac{1}{2}$はおかしいというのはなんとなく分かるんじゃないでしょうか?
当たりくじはたったの10本しかないので、当たる確率もハズレの確率も同じというのは絶対におかしい。しかし、あなたは、なぜこの場合確率は$\frac{1}{2}$ではなく$\frac{1}{100}$になると説明できるでしょうか?
ここで、同様に確からしいのコンセプトが一役買います。
この場合、10本の当たりクジ、990本のハズレクジのクジ1本1本を区別しているからです。
「当たり1」、「当たり2」、「当たり3」…… 「当たり10」
「ハズレ1」、「ハズレ2」、「ハズレ3」…… 「ハズレ990」
このクジでは、結果が「当たり」「ハズレ」どちらだったとしても、クジを1本引くということが同様に確からしいということになります。
同様に確からしくないって?
さて、ここまではずっと「同様に確からしい」についてのポイントやテクニックについて話してきたけど、今度はその逆「同様に確からしくない」について話していこう。
あー、それちょうど聞こうと思ってた。「同様に確からしい」=等確率、同じものでも区別するってまあ分かったけど、「同様に確からしくない」とどうなるの?
じゃあ例えば、身近な例としてイメージしやすいのがくじ引きで考えてみよう。
たかし君は、プロ野球のドラフト会議を知ってるかな?
あ、なんか毎年各球団が欲しい選手をくじ引きで決めるっていうあれですか。野球選手も自分の人生がくじ引き1本で決まるだなんて気の毒〜だなと思っていつも見てます。
まあ、あれは公平性の上でのくじ引きだからね。笑
例えば、抽選箱にこんな3つのくじが入っていたらどう思う?

ええ、これはおかしいですよ!だって、大谷翔平が2枚も入っているじゃないですか…
そうなんだ。この抽選くじは完全にイカサマ。大谷翔平が藤浪晋太郎よりも引きやすいようにわざと作られているんだ。
全然平等じゃない….
そうその通りなんだ。それぞれの事象、つまり大谷翔平を引き当てる事象Aと藤浪晋太郎を引き当てるという事象Bの確率は同等じゃない。完全に大谷選手が当たりやすいようになっている!それぞれの事象の確率が平等じゃない。だから、「同様に確からしくない」となるんだ。
なるほど。今回みたいな「同様に確からしくない」場合でも計算できるんですか?
もちろん!さっき学んだ「同じものを違うものとして区別する」を使えば計算できるよ!参考にしてみてね。
Step1: 同じもの(大谷翔平)を区別する。
例えば、2つ名前のある大谷の内一人を大谷A、そしてもう一人を大谷Bのように区別してみよう。すると抽選箱には、1)大谷A、2)大谷B、 3) 藤浪の異なった三種類のくじが入っていることになる。
Step2: 全事象(全体)の場合の数と根元事象(それぞれの事象)を求める
先程のステップで、同じ名前のあった大谷翔平を2つに区別したので、
全事象は、大谷A、大谷Bそして藤浪の全部で3通り
ここで、区別せずに大谷と藤浪の2種類しか名前がないから、2通りとやると間違い!
確率計算の基本=>「同じものでも区別する」
ここで、大谷を引く場合と藤浪を引く場合は全部で2通りと思った人は、根元事象が「大谷を引く」「藤浪を引く」の2種類しかないと思っているからです。でも今回の場合、「大谷Aを引く」「大谷Bを引く」「藤浪を引く」の3通りあります。
Step3: 確率の公式に当てはめて計算する
大谷翔平を引く可能性 (全事象3通りのうち、大谷の名前が書かれたくじは2つ)
確率=$\frac{2}{3}$
藤浪晋太郎を引く可能性(全事象3通りのうち、藤浪と書かれたくじは1つ)
確率=$\frac{1}{3}$
これを分かりやすく数字にすると、
大谷を引く可能性(約67%) > 藤浪を引く可能性(約33%)
数学的に見ても完全に不平等くじになってますね。でも、投手と打者で二刀流の大谷選手なら2つくじを引かれても大丈夫ですよ!笑
いやいや、それは無理があるね。笑
例えば、大谷Aのカードを日本ハム、大谷Bのカードを巨人が引いたと仮定してごらん。あの二刀流の大谷選手でも体は1つしかないでしょ。一人の人間が2つの別チームに行って、同じ時間に存在することなんてできる?
それは確かに物理的に無理ですね。笑 これでは、日本ハムと巨人のどのチームが大谷選手を取るかで喧嘩しそうですね。
そう!だから、「同様に確からしくない確率」では例え計算はできたとしても物理的・論理的におかしくなってしまうんだ。
最後に:同様に確からしいまとめ
いかがでしたか?
今回は「同様に確からしい」とはというテーマでその2つの重要ポイントについて紹介しました。
- 同様に確からしいとは、まずそれぞれの事象が起こる場合が等確率である。
- 赤玉5個のような同じ種類のものでも、確率ではい1つ1つ違うものとして区別する。
- 区別する際には、数字やアルファベットをつけて分けよう。
- 同様に確からしくないと、ある特定の事象だけが出やすくなったりして、確率が不平等に。
同様に確からしいのの考えが確率にあるからこそ、場合の数と確率では事象の数の数え方に違いが出てきます。直感的には同じ事象だっとしても、問題を解く際には1つ1つ区別して解くことで確率は計算できるのです。
ぜひ参考にしてみてくださいね!
用語の意味はなんとなく理解できるんだけど、いざ受験問題ってなるとどうしたらいいかわからない。