どうも、受験数学ラボのダイです!


${}P_A$($B$) = $\frac{P(A∩B)}{P(A)}$公式の意味が全くわからん!
今日はこのような疑問にお答えしていきます。
本記事では、条件付き確率と公式の意味。
そして条件付き入試問題の攻略法を完全伝授します!
目次
条件付き確率を分かりやすく
条件付き確率=確率に影響する状況を考慮
条件付き確率は、一般的に下記のように説明されることが多いです。
ある事象Aが起こったという条件の下で、事象Bが起こるとき、AにおけるBの条件付き確率と言います。
条件付き確率を一言で言うと
確率に影響しうる状況や条件を考えること!
一般的な確率では、
「この宝くじってどれくらい当たりやすいのかなぁ〜」
「今回のオリンピックで日本の野球は優勝できるかな〜」
このようにある特定の出来事に注目して、その起こりやすさを数字にして計算します。
しかし、条件付き確率そのイベントの確率に影響しうる他の状況や条件を考え方上で確率を計算します。
例えば、
「今回のオリンピックでメキシコが参加した時の日本野球の優勝する可能性」
「今回のオリンピックで前回の優勝国アメリカが参加しなかった時の日本野球の優勝する可能性」
「今回のオリンピックで自国開催した時の日本野球の優勝する可能性」
このように通常の確率に「メキシコが参加した時」「アメリカが参加しなかった時」などの
条件や状況を加えてさらに正確に確率を計算できるのが条件付き確率なんです!
普通の確率と違って、条件付き確率ではその確率に影響しうるものまで考慮した確率
- 一般的な確率=「オリンピックで日本野球が優勝する可能性」
- 条件付き確率=「前回の優勝国アメリカが参加しなかった時の日本野球の優勝する可能性」
数学的表記
条件付き確率を数学的に表すと
${}P_A$($B$)
これは事象Aが起こったという条件の下で、事象Bが起こることを表しています。
「事象A(条件)における事象Bの条件付き確率」のように読みます。
先ほどのオリンピックの例で言うと
- 事象A (条件)= 前回の優勝国アメリカが参加しなかったとき
- 事象B (求める確率)= オリンピックで日本野球が優勝する確率
${}P_A$($B$)のAの部分には条件である事象A、Bには問題文で問われている確率がきます。
つまり、条件(事象A)が起こったときの事象Bの確率がきます。
また「事象A(条件)が起こったときの事象B」を下記のように表す場合もあります。
$P (B|A)$
表記の仕方は先ほどと違いますが、仕組みは同じでA=事象A(条件), B=事象B(求める確率)
$P (B|A)$
- B=日本野球が優勝する確率
- A=前回の優勝国アメリカが参加しない

どちらの表記方法も同じくらいよく使われるので、2つとも押さえておこう!
条件付き確率問題の見分け方

問題を解くときの条件付き確率問題の見分け方を教えてください〜!
特にセンター試験などの受験数学では、「〜であるときの〜の条件付き確率」のように問題文に明記されていることがほとんどです。
以下は2019年度のセンター試験数学1Aの第3問を一部抜粋したものですが、問題文に「〜である条件付き確率」と明記されていますよね。
このような場合は、次に紹介する条件付き公式を使って問題を解くことになります!
では、「条件付き確率」と明記されていない場合はどうでしょう?
その場合は条件付きのキーワード「〜とき」を探しましょう。
例:2つのサイコロの目の和が8になるとき、小さいサイコロの出目が4以下の確率
「〜とき」の前にくる部分が条件(事象A)で、その後ろが求めるべき確率(事象B)になります。
- 事象A (条件) = 2つのサイコロの目の和が8
- 事象B (求める確率) = 小さいサイコロの出目が4以下

問題文に「〜の条件付き確率」とあれば、条件付き確率の公式で解こう!それ以外は問題文に「〜のとき」があった場合!
条件付き確率の公式
スバリ条件付き確率の公式は以下の通りです!
事象Aの起こる確率を$P(A)$、事象Aかつ事象Bが起こる確率を$P(A∩B)$とした時
条件付き確率は、${}P_A$($B$) = $\frac{P(A∩B)}{P(A)}$
*PはProbability (英語:確率)の略です。
この公式の意味を理解する上で注意すべき点が2つあります。
- 確率の分母が、全体事象(∪)から事象Aの確率P(A)に変わる
- 確率の分子が$P(A∩B)$
それぞれ詳しく見ていきましょう!
確率の分母が全事象(∪)ではなく、事象Aの確率P(A)
条件付き確率公式において、分母が変わるのは
確率の基準を表す分母が全事象(全体)から事象Aに変わるからです。
これは一般的な確率公式と比較すると分かりやすいです。普通の確率の公式はこれです。
確率P = $\frac{ある特定の事象}{全事象(全体)}$
この公式のポイントは、全事象(全体)が確率の分母として基準になっていること。
そして、その中に含まれるある特定の事象を分子として分数で表すことです。

確率では、基準となるものを分母に、求めるべきものを分子におくんだ!
例えば、「15本の中に3本当たりくじがある時、1本引いて当たりが出る確率」
確率=$\frac{求めるべきもの}{全事象(全体)}$=$\frac{3}{15}$=$\frac{1}{5}$
しかし、条件付き確率では基準が全事象から条件(事象A)に変わります。
それは、以下のように問題文に条件が追加されるからです。
15本のくじの中に3本あたりがあるとき、AからBという順番でくじを引く。Aは引いたくじを戻さずに引くとき、Aが当たったという条件のもとで、Bが当たる(条件付き)確率を求めよ。
先ほどの「Bが当たる確率」とは違って、
条件付き確率では
「Aが当たったという条件」のもとで「Bが当たる確率」
Aが当たったという条件が追加された場合の確率を求めます。
条件付き確率では、条件の部分を事象A, 求めるべき確率を事象Bとします
- Aが当たる=事象A(条件・基準)
- Bが当たる=事象B
「Aが当たる」ことを基準・前提とした上でBが当たる確率を求めます。
そのため、確率の基準を表す分母が事象A(条件)になります!

ここで完全に理解できていなくても大丈夫!次に説明するベン図での条件付き確率のイメージを見れば理解できるようになるから!
確率の分子は$P(A∩B)$であることが前提
条件付き確率では、事象Aが条件となってそれが起こった上での事象Bの確率を求める。
これを言い換えるならば、「事象Aが起きてかつ事象Bも起きる」ということになります。
つまり条件付き確率で求めるものは、事象Aと事象Bを同時に満たすことのできる
共通項(A∩B)ということなんです。
(A∩B)は、AかつBと言われて「事象Aが起きて、かつ同時に事象Bも起きる」を意味します。事象A, Bを両方満たす共通部分のことで、ベン図においては、事象A, Bの円の重なっている部分に当たります。

いきなり結論から話したけど、さらに詳しくベン図で見ていくよ!
先ほどのくじ引きの例で同じく考えていきましょう。
- 事象A =Aが当たる(条件)
- 事象B = Bが当たる
これをベン図で書くと以下のようになります。

ここで確率の分子つまり、求めるべきものは「Bが当たる確率」ではありません。
ここで求めるべきものは問題文にあるように、
Aが当たったという条件のもとで、Bが当たる(条件付き)確率
これを言い換えると、「Aが当たる」かつ「Bが当たる」確率
つまり、「Aも当たって、Bも当たる」という両方の事象を満たす共通部分です。
上のベン図で言うとA∩Bで、事象AとBの円が重なっている赤の部分です。
だから、条件付き確率では「事象A, Bも両方起こる」共通部分A∩Bの確率
$P(A∩B)$が確率の分子になります。
そして上のベン図のオレンジ部分事象Aが基準、確率の分母となります。
条件付き確率では条件となる事象Aと事象Bが同時に起こる部分を求めるので
確率の分子がA∩Bになります。
確率の分母は、基準となる事象A(オレンジ部分)なのでイメージとしては
条件付き確率=$\frac{事象AとBの共通部分}{条件(事象A)}$=$\frac{P(A∩B)}{P(A)}$
条件付き確率を学ぶ意義

条件付き確率の意味は分かったんですが、これっていつ使えるんですか?
条件付き確率は、ある物事の原因を考えるときにとても有効です。

例えば、「日本の野球がオリンピックで優勝した」という事実があるとします。
日本の優勝の原因を考えたときに、以下のような原因があるとします。
- 去年の優勝国のアメリカが参加しなかったから
- 今回のオリンピックは自国開催だったから
もちろんこれら以外の原因も考えられますが
このようにある物事がなぜ起きるのか
その原因を考えて、起きた結果との関係を分析したり数値化すること。
これを数学では条件付き確率と呼ぶんです。
2つの物事を考えるときに、「ある事象Aが原因で事象Bが起きているのか」
2つの物事の因果関係を考えることで、正確な予測や判断ができるようになります。

ある特定の出来事の可能性を考えることも大切なんだけど、それに影響しうる原因の部分まで考えて計算できるってすごいし、なんかかっこいいよね!
条件付き確率の問題
定番問題1〜番号と色がついた玉の問題〜
以下のような袋から1つの玉を取り出す試行をする。この時、袋から取り出した玉の色が白であった時、その白玉に書かれている数字が2である条件つき確率を求めよ。

問題文に「〜であったときの〜条件付き確率」とあるので、条件付き確率の公式で問題を解いていきましょう!
公式を使うために必要な値な$P(A)$と$P(A∩B)$を求めていきます。
ステップ1:$P(A)$を求める
今回の事象をまとめると以下の通りになります
- 事象A (条件) = 取り出した玉が白玉
- 事象B (求めるべき確率)= その白玉に書かれている番号が2
まず袋の中には、白玉=4個、赤玉=5個の合計9個の玉があります。
その中から、白玉を取り出す確率は
事象Aの確率P(A) = $\frac{白玉の数}{全体の数}$ = $\frac{4}{9}$
ステップ2: $P(A∩B)$を求める
次に事象Aが起きて、事象Bも起きる確率$P(A∩B)$を求めていきましょう
今回の場合の(A∩B)は、
取り出した玉が白玉でかつその白玉に2の数字が書いてある
先ほど求めた事象Aの確率P(A)
取り出し玉が白玉の確率 = $\frac{4}{9}$です。
そして、事象B:白玉に2の数字が書かれているもの3個あります。
全体4個の白玉のうち、2の数字は3つで
確率P(B) = $\frac{2の数字の白玉}{全体の数}$ = $\frac{2}{3}$
これら2つの事象A, Bは同時に起こるので
同時に起こる事象の確率は積事象といって、かけ算で求めることができます。
P(A∩B) = P(A) × P(B)
= $\frac{4}{9}$ ×$\frac{2}{3}$ = $\frac{1}{3}$
ステップ3:求めた値を公式に代入する
最後に求めた値を全て公式に代入します
- P(A) = $\frac{4}{9}$
- P(A∩B) = $\frac{1}{3}$
${}P_A$($B$) = $\frac{取り出した玉が白かつ2の数字}{取り出した玉が白玉}$
=$\frac{\frac{1}{3}}{\frac{4}{9}}$= $\frac{3}{4}$
よって求める条件付き確率は${}P_A$($B$) =$\frac{3}{4}$
定番問題2〜2つのサイコロを投げる問題〜
大小2つのサイコロを同時に投げる試行をする。このとき、2つの目の和が8になるとき、小さいサイコロの出目が4以下になる確率を求めよ。

条件付き確率のパターン「〜とき〜の確率」のパターンです。
ただの「出目が4以下の確率」ではなく
2つの目の和が8になるという条件の下でのサイコロの出目が4以下の確率
と解釈できるので条件付き確率の公式を使って解きましょう!
ステップ1:$P(A)$を求める
今回の問題を整理すると
- 事象A (条件)=2つの目の和が8
- 事象B(求めるべき確率)=小さいサイコロの出目が4以下になる
条件付き確率の公式に必要な事象Aの確率$P(A)$と事象AとBの共通項$P(A∩B)$のうち
まず事象Aの確率$P(A)$求めていきましょう。
今回は、大小2つのサイコロを投げます。サイコロはそれぞれ6つの目の6通りなので
6(大)×6(小)= 36通り(全体の数)
同じ性質を持った2個のサイコロでも確率問題では大、小などのように名前をつけて違うものとして区別します。このように同じ性質を持ったものでも区別することを同様に確からしいと言います。まとめ記事はこちらから!
全体で36パターンのうち、2つの目の和が8になる場合は(大の出目、小の出目)とすると
(2、6)、(3、5)、(4、4)
(5、3)、(6、2)
これら5通りになります。よって事象A:2つの目の和が8になる確率は
$P(A)$=$\frac{2つの目の和が8}{全体の数}$=$\frac{5}{36}$
ステップ2:$P(A∩B)$を求める
次に、公式に必要なP(A∩B)の確率、$P(A∩B)$を求めましょう
$P(A∩B)$は、事象A, 事象Bが同時に起こる積事象の確率です。
- 事象A: 2つの目の和が8
- 事象B: 小さいサイコロの目が4以下
つまり、さっき求めた事象Aの5通りの中で
小さい目サイコロの目が4以下のものを選ぶ!
(2、6)、(3、5)、(4、4)
(5、3)、(6、2)
かっこの左の数字が大きいサイコロ、右が小さいサイコロの出目なので
(4、4)、(5、3)、(6、2)
これら3つが事象AとB両方を満たすA∩Bになります。
確率P(A∩B) = $\frac{A∩B}{全体の数}$ = $\frac{3}{36}$
ステップ3:求めた値を公式に代入する
求めた全ての値を公式に代入します!
- 事象Aの確率:P(A) = $\frac{5}{36}$
- 事象A∩Bの確率: P(A∩B)= $\frac{3}{36}$
${}P_A$($B$) = $\frac{目の和が8かつ小さいサイコロが4以下}{2つの目の和が8の確率}$
=$\frac{\frac{3}{30}}{\frac{5}{36}}$=$\frac{3}{5}$
よって、求める条件付き確率は、${}P_A$($B$) = $\frac{3}{5}$
最後に:条件付き確率のまとめ
いかがだったでしょうか?
本日のまとめは以下の通りです。
- 条件付き確率=ある出来事の可能性に影響しうる状況や条件まで考慮した確率
- 条件付き確率のキーワード=「〜のとき〜の事象(の条件付き確率)」
- 条件付き確率公式=$\frac{P(A∩B)}{P(A)}$
- 確率の分母=事象A(条件)、分子=事象Aが起こって事象Bが起きる
- 身近な例で、条件付き確率は物事の原因と結果を分析するために使う
ぜひ本記事を利用して、条件付き確率を自解けるようになるまで復習してみてください。
条件付きってどういうこと?