こんにちは!文系数学のダイです!


同じものを含む円順列の出題パターンや解法を知りたい!
今日はこのような疑問にお答えしていきます!
同じものを含む円順列ってかなり難しいです。
円順列の公式がそのまま使えず、解法手順も問題によって違います。

しかし、本記事で紹介する2つの解法パターンで、同じものを含む順列が解けるようになるよ!

それぞれの出題パターンにあった解き方を完全伝授します!
目次
まず、円順列とは


円順列の基礎が大丈夫な人は、こちらから同じものを含む円順列に飛べるよ!
異なる人やものを円形に並べる並べ方やその総数のこと。
異なる$n$個のものを円形に並べる円順列は$(n−1)!$通り。
- 英語: circular permutation
- 読み方: サーキュラー・パーミュテーション
通常の順列は「横一列に並べる」並べ方でした。
しかし、円順列では円状に並べる並べ方を考えます。

円順列の解き方のポイントは2つあります!
- ある特定の一種類の並び方を固定
- 固定した以外のもので通常の順列P
1種類のものを固定する
例えば、社員3人(A, B, C)が円卓のテーブルに座って会議をします。


社員3人の座り方が何通りあるか考える時に、1人の社員(A)を固定して、時計回りに配列を考えるんだ!

固定した後は、固定した以外のものの並び方を考えます!
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つまり、ここでは社員B, Cの2人の並び方です!
円順列では、回転して並び方が一致するものは同じものと考えます。

だから、同じものを数えないように1つを固定して、その残りの並べ方を考えるんだ!

確かに、下の円1をAを基準にして、右回転すると円2になりますね!

固定した以外社員A以外の順列なので、
- 3人の円順列 = 残り2人の並び方
=(3−1)! = $2!$ = 2通り!
(解答終了)
- 1種類のものを固定して、固定したもの以外の並べ方を考える!
- 回転して並び方が一致するものは同じと考える!
円順列はこちらの記事でさらに詳しく解説しています!
同じものを含む円順列とは
A,A,B,Bなど同じものを円形に並べる順列。
同じものを含む順列は、かなりの難問です。
先ほどの「社員3人が円形に並ぶ」のように、公式を使って単純に求めることができません。
公式が使えない理由
通常の円順列は、A,B,Cのように全て異なるものを並べることが前提条件です。

例えば、さっきの社員3人の並び方の例も社員一人一人が違う個性や名前を持った人間だから公式$(n−1)!$が使えたよね!
しかし、同じものを複数並べる場合は、公式が使えません。
- A,A,B,B,C,Cを円形に並べる
- 赤玉4個、黒玉3個を円状に並べる

公式が使えないから難しいとは言っても、大学入試に出る同じものを含む円順列は2パターンしかない。

次に紹介するそれぞれのパターンにあった解き方を覚えれば問題は解けるようになるよ!
大学入試に出る2つの解法パターン
- 1つしかないものがあるときは固定!
- 1つしかないものが存在しない時は、少ない個数のものを基準に並び方を考える!
1つしかないものがある時は固定
赤玉3つ、黒玉3つ、青玉1つを円形に並べる並べ方はいくつあるか。

青玉1つのように1つしかないものがある場合は簡単!同じものがないものを固定して、それ以外の並び方を考えればいい!
青玉1つのように、同じものが複数ない仲間はずれを固定せよ!
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固定した青玉以外の6つの玉の円順列は、$(7−1)!$=$6!$だね!

でも、通常の円順列$(n−1)!$を使うと、並べる全ての玉は違うものとして区別されますよね?

その通り!だから、通常の円順列$(n−1)!$を同じものを含む順列で割るんだ!
ここでは、赤玉3個、黒玉3個を
- 赤玉=$3!$
- 黒玉= $3!$
として区別した円順列$6!$を割ります。
同じものを並べる順列の計算では、
- 同じものを一旦違うものとして通常の円順列で計算。
- その後、同じものの個数分の階乗$(!)$で割る



1,2,3と番号で区別された赤玉、黒玉を階乗で割ると、区別がなくなってますね!
- 円順列(区別あり)÷同じものの階乗=同じものを含む円順列
= $\frac{(7−1)!}{3!3!}$ = $\frac{6×5×4×3×2×1}{3×2×3×2}$ = 20通り!
(解答終了)
通常の円順列を同じものの階乗で割る!
同じものを含む円順列=$\frac{通常の円順列(n−1)!}{同じものの個数の階乗}$
1つしかないものが存在しない時
赤玉4つ、黒玉3つを円形に並べる並べ方はいくつあるか。

先ほどの青玉1つのように、1つだけしかないものがありません。
このように、並べるものに1つしかないものが存在しない場合は、その並べ方を手書きで考えます!

少ない個数のものを基準に並べ方を考えていきます!
ここで少ない個数の玉は黒玉です。

黒玉の並べ方を基準に、全部の玉の円順列を考えていきます!
黒玉を円状に並べる並べ方は3パターンあります。
- 黒玉3個隣り合って並ぶ
- 黒玉2個が隣り合って並ぶ
- 黒玉が1個ずつバラバラで並ぶ

それぞれのパターンを考えて数えていこう!
①黒玉が3個隣り合って並ぶ

黒玉が3つ隣り合う並べ方は1通りしかありません。

以下のようにいくつかのパターンが考えられそうですが、円順列では回転して一致する並び方は全て同じとみなします!

②黒玉が2個隣り合って並ぶ

黒玉が2個隣り合う場合は、2個でセットの黒玉と残り1つの黒玉の両隣にいくつ赤玉を置くか考えよう!

ここで、左にくる赤玉の数を$x$、右を$y$とします。
赤玉は全部で4個あるので、$x$+$y$=4となる組み合わせを考えます。

必ず$x$, $y$と両方に最低1つは赤玉を置くので、$x\geqq1$, $y\geqq1$という条件を忘れずに!
$(x, y)$ = $(1,3)$, $(2,2)$, $(3,1)$なので、
黒玉が2個隣り合う並べ方は、以下の3通りです!

③黒玉が1個ずつバラバラで並ぶ


これも複数のパターンがありそうだけど、回転して一致する並び方は全て同じなので1通り!
①, ②, ③で求めた値を和の法則でまとめます!
求める円順列= 1+3+1 = 5通り!
(解答終了)

赤玉4個, 黒玉3個のように、並べるもの全てが同じかつ複数ある場合は、少ない個数のものに注目してその並べ方を考えよう!
大学入試に出るその他順列6選
受験数学には、本テーマの他に6つの種類の順列があります。
順番を考慮して一列に並べるという点は共通していますが、それぞれ違った特徴・公式があります。

それぞれの関連記事も読んで受験に出る全ての順列を理解しよう!
✔︎大学入試必須の順列一覧
- 重複順列: 異なるものを繰り返し使って並べる順列。
- 同じものを含む順列: 同じものを並べる順列。
- 条件付き順列
問題文で与えられた条件に従って並べる順列
- 隣り合う・隣り合わない順列
ある特定の人や物を「隣り合う」「隣り合わない」の条件の下で並べる順列。
条件のある円順列
「隣り合う・合わない」「向かい合う」のような条件の下で並べる順列。
- じゅず順列
円順列の内、反転して一致するもの。
同じものを含む円順列:厳選問題3選
- 1つしかないものがあるときは固定!
- 1つしかないものが存在しない時は、少ない個数のものを基準に並び方を考える!

これらの解き方を使って問題を解いてみよう!
固定できる同じものを含む円順列
赤玉1つ、黒玉3つ、青玉3つを円状に並べるとき、並べ方はいくつあるか。

赤玉1つと「1つしか存在しないもの」があるから、赤玉を固定してそれ以外の並べ方を考えよう!
✔︎ステップ1: 赤玉を固定してそれ以外の並べ方

1個だけしかない赤玉を固定すると、
黒玉、青玉の残り6個の円順列なので、(7-1)! = $6!$通り。
✔︎ステップ2: 同じものを階乗で割って区別をなくす
ステップ1で求めた$6!$は、並べる全ての玉を青1, 青2, 青3のように、全て違うものとして数えたものです。

だから、同じものの個数を階乗で割って区別を無くそう!

階乗で割ることで、
(青1, 青2, 青3) → (青, 青, 青)にします!
- 同じものの円順列=通常の円順列÷階乗
青1,2,3の3つ全ての並び方なので3!
黒玉も同じく3個なので3!
求める円順列=$\frac{6!}{3!3!}$ = 20通り!
(解答終了)
固定できない同じものを含む円順列
赤玉4個、青玉2個を円形に並べる方法はいくつあるか。

「1個しか存在しないもの」がないので、個数が少ないものを基準に並べ方を考えよう!
個数が少ないものは、青玉です。
青玉2個の並び方を基準に、赤玉の並び方を考えます。
青玉の2個の並び方は全部で3パターンです。
- 青玉2個が隣り合う
- 2個の青玉の間に赤玉が1個並ぶ
- 2個の青玉の間に赤玉が2個並ぶ
①青玉2個が隣り合う

青玉が2個隣り合うので2個まとめて固定します。
残りの赤玉4つの並べ方を考えましょう!

同じものの並べ方なので組み合わせCを使おう!
- 順番を考慮しないものの選び方・並べ方。
今回の場合、赤玉は全て同じものです。順番によって赤1,赤2のように区別しないので、組み合わせCを使います。

4つの丸に4つ選んで並べるので、
${}_4 C_4$=$\frac{{}_4 P_4}{4!}$ = $\frac{4×3×2×1}{4×3×2×1}$=1通り
②2個の青玉の間に赤玉が1個並ぶ

青玉1個-赤玉1個-青玉1個のセットの並び方なので、これらを固定します。

残りの赤玉3つの並べ方を考えよう!
同様に組み合わせを使って、
3つの丸に3つの赤玉を選んで入れるので、
${}_3 C_3$=$\frac{{}_3 P_3}{3!}$ = $\frac{3×2×1}{3×2×1}$=1通り
③2個の青玉の間に赤玉が2個並ぶ

青玉1個-赤玉1個–赤玉1個-青玉1個のセットの並び方なので、これらを固定します。

残りの赤玉2つの並べ方ですね!
同様に組み合わせを使って、
残り2つの丸に2つの赤玉を入れるので、
${}_2 C_2$=$\frac{{}_2 P_2}{2!}$ = $\frac{2×1}{2×1}$=1通り
最後に求めた全ての値を和の法則で、
求める円順列=1通り+1通り+1通り
= 3通り!
(解答終了)
難問: 固定できないパターン
アルファベットA,A,B,B,C,C,Cを円形に並べる並べ方はいくつあるか。

A: 2個, B: 2個, C: 3個で、「1つしかないもの」が存在しないこれも個数の少ないものに注目して並び方を考えよう!
ここでは、個数の少ないAを基準にします。
(同じ個数のBでも問題ありません)
Aの並び方は3パターンあります。
- Aが2個が隣り合う
- 2個のAの間に別の玉が1個並ぶ
- 2個のAの間に別の玉が2個並ぶ
①Aが2個が隣り合う

Aが2つ隣り合うので固定して、残りの5つの丸にBを2つ、Cを3つ入れます。

Bの2個もCの3個もそれぞれ同じものなので組み合わせを使います!
まず、5個の丸のうち2個を選んでBを入れるので
=${}_5 C_2$
残りの丸3個のうち、3個ともCが入るので
=${}_3 C_3$
${}_3 C_3$のように、${}_n C_r$のn=rの時、${}_n C_r$=1になります。1なので計算では省略します。
${}_5 C_2$(×${}_3 C_3$=1) = $\frac{{}_5 P_2}{2!}$ = 10通り!
②2個のAの間に別の玉が1個並ぶ

同じく2個のAの間に、別の玉がくるように固定します。
5個の丸のうち2個を選んでBを入れるので
=${}_5 C_2$
残りの丸3個のうち、3個ともCが入るので
=${}_3 C_3$
(${}_3 C_3$=1なので計算では省略)
${}_5 C_2$ = $\frac{{}_5 P_2}{2!}$ = 10通り!
③2個のAの間に別の玉が2個並ぶ

同じく2個のAの間に、別の玉が2個くるように固定します。
5個の丸のうち2個を選んでBを入れるので
=${}_5 C_2$
残りの丸3個のうち、3個ともCが入るので
=${}_3 C_3$
(${}_3 C_3$=1なので計算では省略)
${}_5 C_2$ = $\frac{{}_5 P_2}{2!}$ = 10通り!
最後に求めた全ての値を和の法則で、
求める円順列=10通り+10通り+10通り=30通り!
(解答終了)
最後に: 同じものを含む円順列まとめ
いかがだったでしょうか。
本日のまとめは以下の通りです。
- 同じものを含む円順列: A,A,B,Bなど同じものを円形に並べる順列。
- 通常の円順列は、全て異なるものを並べることが前提条件。
- 同じものを含む円順列のパターン
①1つしか存在しないものがある時は固定!
公式: $\frac{通常の円順列}{同じものの個数の階乗}$
②1つしか存在しないものがない時は、個数が少ないものを基準に並べ方を考える!

A,A,B,B,B,C,Cみたいな同じものを含む円順列ってどう解けばいいの!?